研究課題/領域番号 |
18H03494
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 岳洋 京都大学, 情報学研究科, 助教 (70717636)
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研究分担者 |
大島 裕明 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 准教授 (90452317)
山本 祐輔 静岡大学, 情報学部, 講師 (50625431)
加藤 誠 京都大学, 国際高等教育院, 特定講師 (00646911)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 情報検索 / 批判的ウェブ検索 / 批判的思考 / 探索的検索 |
研究実績の概要 |
本研究では,多様な情報を調べ,かつ得られた情報を精査するような検索行動を批判的ウェブ検索行動と定義する.本研究の目的は,人々の批判的ウェブ検索行動について理解を深め,批判的ウェブ検索行動を支援する技術の実現に取り組むことである.具体的には,(課題A)批判的ウェブ検索行動と思考特性の関係分析,(課題B)タスク-サブタスク構造情報を利用した代替情報マイニング技術,(課題C)批判的ウェブ検索行動を支援するインタラクション技術,の3つの課題に取り組む.平成30年度の研究成果の概要は以下の通りである. (課題A)批判的ウェブ検索行動の理解: 日常的に批判的ウェブ検索をどの程度意識してウェブ検索エンジンを利用しているのか,という人々の批判的ウェブ検索行動に対する意識と,その意識の違いが普段のウェブ検索行動にどのような差を生じさせているのかを分析した.具体的には,人々の批判的ウェブ検索行動に対する意識をアンケート調査により測定し,そのアンケート結果と人々と1年間のウェブ検索ログとを関連付けながら分析した.1491名のユーザに対するデータを分析した結果,意識の差がユーザが閲覧する文書の順位の分布に関連することなどを発見した.本研究の主な成果は,情報検索と知識処理に関するトップカンファレンスである ACM CIKM2018 に採録された. (課題B)タスク-サブタスク構造情報を利用した代替情報マイニング技術: 検索ユーザが達成したい実世界での「タスク」とそれを達成する「サブタスク」という構造を考え,同じタスクを達成するサブタスクを「代替行動」と定義し,代替行動をテキストデータから学習する方法に取り組んだ.具体的には,質問応答コーパスを学習することで,検索クエリから代替行動をマイニングする手法の有効性を検証した.本研究の主な成果は論文誌として採録された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では,平成30年度は研究課題Aのみに取り組む予定であったが,研究課題A,Bともに成果をだすことができ,当初の予定よりも進捗があるため,現在までの進捗状況は順調に進展しているといえる.特に,研究課題Aでは難関国際会議に論文が採択され,研究成果は高く評価された.
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は主に研究課題 C)としてあげた,批判的Web検索を促すインタラクション技術について取り組む予定である.研究課題 A), B), C)それぞれについての具体的な計画は以下の通りである. 研究課題 A) 平成30年度について取り組んだ研究を通して明らかにした知見をさらに詳細化するため,検索クエリログ分析を通して,批判的ウェブ検索行動に対する意識の高いユーザとそうでないユーザとの検索行動の差異についてより詳しく分析する予定である. 研究課題 B) 代替情報のマイニングについては,Q&Aコンテンツの分析やWeb検索のクエリログ分析を進めつつ,実際のアルゴリズムの具体化について取り組む. 研究課題 C) 批判的Web検索を促すインタラクション技術については,文書の意見,文書の信憑性,検索ユーザの事前の考えなどを考慮し検索結果のランキングを生成することで,検索ユーザに批判的ウェブ検索行動を促すランキング生成を試みる.また,実際に生成したランキングにおいて検索ユーザがどのような検索行動をとるかをユーザ実験によって明らかにすることで,提案ランキングの有効性を検証する.さらに,システムが自動的に文書の信憑性を推定するために,既存の知識ベースを用いた文書の信頼性の評価技術についても取り組む予定である.
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