研究課題/領域番号 |
18H03505
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田中 観自 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (20727086)
|
研究分担者 |
渡邊 克巳 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20373409)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 行為主体感 / 自己主体感 / 追体験 / 系列学習 / 錯覚 |
研究実績の概要 |
本研究では,体験者が技能の追体験を通じて,その技能を効率的に学習できる追体験システムの開発を目指す.そのために,【研究A】偽運動主体感の生成メカニズムの解明(認知心理学的研究),【研究B】追体験システムとVRの融合(システム実装)の2つのテーマを設定し,相互に補完しあいながら研究を行う.まず,研究Aについて,錯覚刺激を呈示した場合において偽運動主体感が生成するのか検討した.実験では,ダブルフラッシュ錯覚と呼ばれる錯覚を用いた.これは視覚刺激を1度呈示するタイミングに合わせて聴覚刺激を短い時間間隔で二度呈示することで,視覚刺激が2度呈示されたように知覚する錯覚である.これを用いて,必要とされるアクション回数を1度または2度の課題を準備し,ダブルフラッシュ錯覚を使用し,視覚刺激の観察回数を1度または2度になるように準備した.一連の実験の結果として,アクション回数と見かけ上の視覚刺激の観察回数の一致が,行為主体感の変調を引き起こしていることを明らかにした.つまり,自分が行ったアクション回数(例えば2回)と知覚した観察回数(2回)が一致していれば,それは錯覚による知覚であっても行為主体感は高い状態であることを示した.これは,アクションと視覚刺激の知覚処理がなされた後に統合された結果として行為主体感が生成されていることを示唆しているものである.本成果をまとめたものを査読付き国際誌に投稿する予定である.またこれらの認知心理学実験と並行して,追体験のシステム開発も進めており,問題視されていた箇所の改善などを観察することができた.次年度以降もシステム開発を継続する.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究成果について学会発表を通じて多くのフィードバックを得ることができた.また,現在はその成果を査読付き国際誌に投稿する準備を進めている.したがって,現在までの達成度は,おおむね順調であると思われる.
|
今後の研究の推進方策 |
今後も研究成果の発表および論文投稿を行い,新しい認知心理学実験および装置の開発を滞りなく進めていくことで,追体験の実装に向けた知見を蓄積していく.
|