研究課題
本研究では、この課題にアプローチするため、従来の素材より安定した反応を示すダイヤモンドセンサを駆使して、小型の迅速測定装置を創出した。標的薬物として分子標的薬であるイマチニブ、レンバチニブやパゾパニブ を選択した。ここでは、採取したラット血漿に濃度の異なる分子標的薬を単独で添加し、測定法を検証した。手順として、除タンパクのために、薬を含む血漿サンプル100 μlに対しアセトニトリルを添加し、それを20,000 Gで2分間遠心した。そして、サンプル上清100 μlをダイヤモンドセンサにて測定した。まず、イマチニブをテスト薬物とすると、その有効治療濃度域(1~6 μM)を凌駕する0.3~10 μMの範囲を計測することが可能であった。さらに、レンバチニブやパゾパニブ においても、それぞれの推奨治療濃度域をカバーする0.1~10 μM, 10~150 μMの範囲を定量した。測定自体は約35秒の短時間で可能であり、サンプル処理を含めても10分以内で全工程が完了した。次に、パゾパニブをラットにパゾパニブを経口投与したのちに採血し、血漿中濃度の経時変化を測定した。Tmaxは~4時間となり、先行研究における薬物動態の結果と類似していた。さらに、測定チャンバーの改良により、手のひらサイズのデバイスを作製した。これにより、測定感度は維持しつつ省スペースでの測定が可能となった。迅速、簡便、安価な本計測法の展開により、経口分子標的薬のオーダーメイド治療が可能になると期待される。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Analytical Chemistry
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