研究課題
本研究課題においては、研究代表者らがこれまでに確立した脱細胞化細胞外マトリックスを用いた臓器様三次元心筋組織構築技術 (Yasui,Lee et al. Biomaterials. 2014) を用い、生理的機能・形態を有する3次元心筋組織の創出に向け、#1 細胞ホーミング機構の解明、#2 細胞基質間接着制御機構の解明、#3 三次元臓器の成熟化を促進する因子の探索に焦点をあて、研究を進めている。2019年度は下記研究を実施した。1)新規脱細胞化技術の開発:新規糖脂質物質を用いることにより、細胞外マトリックスの大きさや形態などに影響を与えずに脱細胞化を遂行しうることを見出した。本成果は、特許出願をおこなうとともに、日本再生医療学会学術集会で発表した。また、脱細胞化工程において光干渉断層イメージング装置により解析を用い、3次元組織である脱細胞化技術の効果を評価する新規技術を開発し報告した。2)細胞の増殖・遊走関連因子YAP活性とストレスファイバーアクチンとの関連:ディストロフィンが欠損しているデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD) 患者から樹立されたiPS細胞由来心筋細胞を用い、ディストロフィンがアンカリングするアクチンの機能性を調べた。また、ストレスファイバーであるアクチンの機能性を評価するため、アクチンダイナミクスをライブセルイメージングで解析するプラットフォーム構築を行った。一部の成果は日本心筋症研究会(YIA)で報告した。3)内皮細胞と心筋細胞の共培養による自己組織化: 内皮細胞と心筋細胞の共培養により、細胞塊の立体化が促進する工程を、生細胞状態で観察・解析するプラットフォームを構築し、現在論文投稿準備中である。
3: やや遅れている
COVID-19感染拡大による影響で、一部の研究活動が制限を受け、遅延を余儀なくされた。
2020年度計画1)新規脱細胞化・再細胞化技術の開発:新規脱細胞化技術で得られた脱細胞化マトリックスに心筋細胞の播種を行い、得られた3次元心筋組織の形態機能について、生理学的・分子生物学的・組織工学的側面から評価を行う。2)YAP活性制御により自己組織化工程の評価:アクチン機能への介入(重合作用を有するリゾホスファチジン酸など)により、YAP活性の制御を行い、細胞の増殖・遊走のコントロールの可能性を調べ、3次元組織構築に向けた基盤技術の開発を行う。3)臓器様組織の機能・形態解析に利用可能3次元イメージング技術の確立:組織透明化技術を用いた臓器全体の細胞・組織分布の可視化と定量解析方法を用い、脱細胞化・再細胞化法により構築さらた3次元心筋組織の形態解析を行う。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 図書 (3件) 産業財産権 (1件)
Frontiers in Physiology
巻: 10 ページ: 818
org/10.3389/fphys.2019.00818