研究実績の概要 |
本課題目標「生体臓器に匹敵する機能・形態を有する三次元バイオ人工心臓の創出に向けた基盤技術の開発」研究をおこなった。 #1. 他律的組織化が、ヒトiPS細胞由来心筋細胞 (hiPS-CM)の成熟化に及ぼす効果を調べた。その結果、有配向性スキャフォールド (SF) 上でhiPS-CMを培養すると、無配向性SFあるいはSFなしの条件と比べ、電気生理特性や遺伝子発現パターンなどの成熟化促進が観察された。有配向性SFによる成熟化パラメータの一部は、hiPS-CMを剥離して再播種した後も維持された。本成果は原著論文として報告した(Li J, Lee JK et al. Front Cell Dev Biol. 2021). #2. ラット交感神経細胞(rSN)と共培養すると、hiPS-CMの自己組織化と成熟化が促進されることを見出した。一方、rSN培養上清を用いたhiPS-CM単培養系では、hiPS-CMの成熟化が見られたが、自己組織化は見られなかった。本成果は、第85回日本循環器学会学術集会Young Investigator’s Award (International Student Section) で発表した(最優秀賞受賞). #3. Duchennne型筋ジストロフィー (DMD) 患者から樹立されたiPS細胞から分化した心筋細胞を用い、ストレスファイバー(アクチン)とYAPシグナルの関係を調べ、DMD心筋症における YAPシグナルの関与を明らかにした(Yasutake et al. Sci Rep, in press).本成果は、YAPシグナルが三次元組織構築においても重要な役割を果たしていることを示唆した。 #4. 臓器様三次元心筋組織構築に向けた脱細胞化工程におけるバイオサーフアクタントの効果を調べた。 #5.組織透明化技術を用い心臓の三次元イメージング方法を構築した。
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