研究課題
RNAiは血中に存在するendonucleaseによる分解により速やかに分解されてしまうため、化学修飾による耐性向上か、ナノキャリア搭載による保護が必要である。今回申請者は、endonuclease耐性が高くなる独自のたんぱく修飾をした核酸作成技術をもつA社と共同研究契約を結び、LDL受容体の発現調節に関与しているPCSK9に対して、マウスのヒトで保存されている配列を選択しRNAiを作成した。Hepa1-6などの細胞株にて、RNAiの配列を選定した。分担研究者の黒田が開発したヒト肝臓特異的DDSナノキャリアであるバイオナノカプセル(Yamada et al. Nature Biotech 2003)に搭載した。バイオナノカプセルはヒト肝臓特異的に感染するB型肝炎ウイルスの表面タンパク質を提示しており、同ウイルス固有の①ヒト免疫系からの回避能、②高効率かつ高特異性のヒト肝臓細胞感染能、③ヒト肝臓細胞内におけるエンドソーム脱出能を有している。しかし、検討の結果、バイオナノカプセルへのA社のRNAiの搭載効率が、十分ではないことがわかった。そのため、別のナノカプセルB、ナノカプセルCを選定し、A社のRNAiの搭載効率を確認したのち、野生型C57Bl/6マウスに対する投与実験を行った。ナノカプセルCに搭載した抗PCSK9-RNAiを投与した実験で、肝PSCK9 mRNAのノックダウン効率をqPCR法で評価したところ、約40%程度のノックダウン効率が得られた。また、脂肪肝炎の治療評価の系として、これまでの高脂肪高シュクロース胆汁酸含有食を改変し脂質Xを加えて、新規食事誘導性脂肪肝炎マウスを作成した
3: やや遅れている
RNAiは血中に存在するendonucleaseによる分解により速やかに分解されてしまうため、化学修飾による耐性向上か、ナノキャリア搭載による保護が必要である。今回申請者は、endonuclease耐性が高くなる独自のたんぱく修飾をした核酸作成技術をもつA社と共同研究契約を結び、さらにRNAiを運ぶナノキャリアへの搭載を試みた。しかしナノキャリアへのRNAiへの搭載と接種後のRNAiの放出は、相反する点があり、基礎的条件検討に時間を要した。A社作成のRNAiとナノキャリアの相性(電荷、疎水性など)を検討し、最終的にナノカプセルCとの組み合わせを選択した。並行して、脂肪肝炎の治療評価の系として、これまでの高脂肪高シュクロース胆汁酸含有食を改変し脂質Xを加えた、新規食事誘導性脂肪肝炎マウスを作成することができた。
本学の動物実験施設の全面改修が急遽決定され、臨時施設への1.5年間の移動と大幅な飼育ケージの制限がかかったためLDL受容体ノックアウトマウスの入手が困難になった。当面は野生型C57Bl/6マウスに対し、ナノカプセルCに搭載した抗PCSK9-RNAiを投与する群、ナノカプセルCのみを投与する群、RNAiのみを投与する群で、効果の評価を継続することとした。脂肪肝炎の評価のために、これまでの高脂肪高シュクロース胆汁酸含有食を改変し新規食事誘導性脂肪肝炎マウスモデルを作成したので、PCSK9のRNAiで一定の成果が出たのちに、脂肪肝炎の治療評価の系としてこれまでの高脂肪高シュクロース胆汁酸含有食を改変し脂質Xを加えて作成した新規食事誘導性脂肪肝炎マウスにて、TTC39Bに対するRNAi搭載ナノカプセルについて、野生型C57Bl/6マウスに投与する実験を予定している。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (27件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件) 備考 (5件)
JAMA Cardiol.
巻: - ページ: -
10.1001/jamacardio.2019.5173.
Int J Mol Sci.
巻: 21 ページ: 1907
10.3390/ijms21061907.
J Mol Cell Cardiol.
巻: 138 ページ: 197-211
10.1016/j.yjmcc.2019.12.009.
J Atheroscler Thromb.
巻: 26 ページ: 915-930
10.5551/jat.48405.
J Clin Lipidol.
巻: 13 ページ: 317-325
10.1016/j.jacl.2019.01.002.
http://www.cardiology.med.osaka-u.ac.jp/?page_id=33160
http://fh-osaka-univ.org/
http://www.cardiology.med.osaka-u.ac.jp/?post_type=clinical