研究課題
基盤研究(B)
本研究課題では、天然の抗菌性ペプチドにヒントを得て、細菌の細胞膜を選択的に認識し、破壊することで作用する新しい膜活性抗菌剤の開発を行った。具体的には、疎水的な大環状分子を基本骨格として、カチオン性官能基を複数導入することで、抗菌ペプチドの有する両親媒性構造を模倣した抗菌剤分子を設計した。本研究で開発した膜活性抗菌剤は、従来の抗生物質のように薬剤耐性を獲得すること無く、高い抗菌活性を示すことが明らかになった。
生体高分子・界面化学・生物物理
あらゆる細菌が有する細胞膜を攻撃対象とした膜活性抗菌剤の作用機構は、既知の薬剤耐性微生物のみならず未知の新型微生物に対しても有効である。単純な合成分子骨格を用いた膜活性抗菌剤はペプチド等と比較して安価に大量生産することができるため、医薬のみならず食品や日常生活用品といった多方面へ利用できる。また、膜活性抗菌剤は、細菌のみならず、エンベロープを持つインフルエンザやHIV等のウィルス類を対象とした薬剤にも応用できる可能性を有している。
