本研究は大腸がんの新規診断法として排便ガスの有用性を検討することを目的とする。 大腸がんの診断が排便時のガスで判定できれば、従来の検診よりも、より非侵襲的・簡便に行える可能性がある。 症例集積は大腸がん・大腸ポリープ・健常者、各120例(計360例)を予定していた。 TOTOと共同開発したガスセンサーを家庭トイレへ設置し、1週間の排便時の排ガスデータを採取した。検出対象ガスは硫化水素、メチルメルカプタン、CO2、水素とした。 2018年10月に院内の倫理委員会の承認をえて、2018年12月から症例集積を開始し、2021年3月31日まで216例(大腸がん 107例、大腸ポリープ・健常者143例)のデータを集積した。データクリーニングを行い、大腸癌症例101例、大腸ポリープ50例、健常者90例で解析を施行した。 ガスセンサーによる解析でガス成分と大腸癌の有無、ポリープの有無では明らかな有意差を認めることはできなかった。差を認めなかった理由として、大腸癌症例と非大腸癌症例での年齢の差が大きく影響していることが考えられた。
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