研究課題
すでに収集されている便・喀痰便検体(合計1,414例の便検体 [基本的には手術・検査前に4回の便を採取しているため、便検体は合計5,656検体保存されている]、合計492例の喀痰検体を既に収集を終了し凍結保存している)を用い、 肺癌非侵襲的がんスクリーニングの精確性の検証を集中的に行った。全喀痰の解析は終了し、現在、鋭意解析を行っている。ただ、当研究で得られるメチル化データは52プローベから得られる連続変数であり、単純なロジステック解析ならば再現性ある精確性を保持できているが、この場合、明確なカットオフ設定ができない。このため、Deep learningを用い、プロスぺクティブに癌存在を予測できるアルゴリズムを検討してきている。現在、これら方法の論文も含め、論文を作成中である。消化器癌患者の便検体、非担癌患者の便検体の解析を2019年度に鋭意行い、約半数の解析を終了している。また、それら検体提供者のフォローアップを含めた臨床データとの照合を行う。特に、②④非担癌患者の検体は、その後に何らかの癌を発症している患者を収集し一元化も行っている。臨床データは75%終了している。ただ、データが極めて膨大なため、その整理を集中して行っている最中である。喀痰に関しては、メチル化DNA解析結果と臨床データを照合することによる診断アルゴリズムの開発を行っている最中である。具体的にはXGBoost(勾配ブースティング)を用い、検討を行っている。これらに加えて、中長期フォローを行う前向き臨床試験を計画し臨床試験として開始する予定であったが、まずは、倉敷中央病院の健診センターを中心に行う方向で段取りを進めている。
3: やや遅れている
検体解析自体は順調にすすんでいるが、臨床データの集約や抽出、診断アルゴリズムの構築に関しては、その扱うデータ量が膨大なため苦慮している。診断アルゴリズムはXGBoost(勾配ブースティング)を現在用いているが、別手法での検討も開始しており、その解析に(臨床データとの統合を含めて)予想以上の時間がかかっている。中長期フォローを行う前向き臨床試験を計画し臨床試験であるが、現在の臨床データ取集の煩雑さを加味し、全データ収集を行うには労力がかかるため、最初は1施設で初期検討を行う方向に転換を行った。この変更点が、進捗が遅れた原因ではあるが、意味のあるデータを得るためにも、この変更は避けることができないと考えている。
本年度は、全検体の解析を終了し、喀痰を用いた肺癌非侵襲的がんスクリーニングの論文を出すことと、XGBoost(勾配ブースティング)を用いた診断アルゴリズムのVersion 1を完成させ発表を行う。便検体を用いた研究に関しては、全検体の解析を前期に終了し、後期までに臨床データとの照合が行えるように、臨床データのデータマイニングを集中して行う予定である。便検体に関する診断アルゴリズムは喀痰を用いた肺癌非侵襲的がんスクリーニングの構築の際に用いたXGBoost(勾配ブースティング)をまずは応用する予定である。先制医療の構築に不可欠なエピジェネテックマーカー候補の抽出を試みる。前向き臨床試験では、上記データから得られる必要項目に関するデータの登録方法やデータ入力方法の構築を行い、スモールパッケージで試行し、多施設試験への橋渡しを行う。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件)
Oncology Letters
巻: 19(4) ページ: 2685-2694
10.3892/ol.2020.11365
BMC Cancer
巻: 19 ページ: 941
10.1186/s12885-019-6163-6
INTESTINE
巻: 23(5) ページ: 462-465