研究課題/領域番号 |
18H03555
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
梅津 光生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90132927)
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研究分担者 |
松橋 祐輝 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (50754777)
岩崎 清隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20339691)
坪子 侑佑 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院講師) (40809399)
八木 高伸 早稲田大学, 理工学術院, 主任研究員(研究院准教授) (00468852)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 血液循環シミュレータ / 小容量拍動ポンプ / 塞栓コイル |
研究実績の概要 |
研究代表者(梅津)の40年間にわたる“血液循環シミュレータ”開発の総仕上げとして、従来の約1/6 のスケールで新鮮血を循環させる“超小型血液循環シミュレータ”の開発を目指す。2つの新規医療機器(冠動脈用ステントおよび塞栓コイル)それぞれを開発中のシミュレータに挿入し、その機器性能が患者に使用した際の状況と限りなく近づくまでシミュレータの性能向上を図る。従来は、一巡の回路の一部を分岐させて新規医療機器の性能評価をしていたが、このミニ循環の手法により、機器ごとに血圧・血流条件を正確に設定できるので、適正使用法やリスク対応がより明確化できる。そして最終年には、厚生労働省が出す評価法ガイドライン、JIS規格、ISO規格に活用される装置の開発を目指す。これにより産官学それぞれに対して有用となる“血液循環シミュレータ”ができると考えており、新規医療機器の品質の保証、安全性と有効性確認の今まで以上に科学的根拠に基づいた方法論が確立できる。本年度は、開発した超小型血液循環シミュレータを塞栓コイルの性能試験用として活用し、シミュレータの性能を明確化することを目的として、ブタ鮮血を循環させた回路に設計の異なる3種類の塞栓コイル(以下コイル)を留置し、3次元留置形態が留置後の血流量、コイル前後の圧較差に及ぼす影響を評価した。その結果、水を用いた実験では明らかにすることができない血栓の形成を踏まえたうえでの、デバイスの設計の違いがコイル留置後の血流量の変化、コイル前後の圧較差や塞栓するまでに要する時間に影響を及ぼすことを明らかにすることができた。さらには、臨床では分析が困難である設計の違いがコイル留置部における血栓の形成と成長の仕方についても分析することができ、開発した回路の有用性を明確化することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度には、開発した超小型血液シミュレータにブタ鮮血を循環し、塞栓コイルを対象とした性能試験を実施した。本試験では、塞栓コイルという手技を伴うデバイスを対象としたため、試験結果対する留置手技の影響をいかに考慮するかが課題の一つであった。この課題に対して、留置後のコイルをマイクロCTで撮像し留置形態の分析を行うと共に、粒子画像流速計測法を用いた流れの可視化の結果を組み合わせて分析・評価することで研究を前進させることができたため、今後の研究をより円滑に進められる。
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今後の研究の推進方策 |
超小型血液シミュレータの非臨床評価ツールとして新規医療機器評価に使えることを明らかにし、評価法ガイドライン、JISへの活用を図る。
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