研究課題/領域番号 |
18H03563
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研究機関 | 熊本高等専門学校 |
研究代表者 |
清田 公保 熊本高等専門学校, 人間情報システム工学科, 教授 (80186353)
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研究分担者 |
伊藤 和之 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 自立支援局(研究所併任), 主任教官 (10501091)
藤澤 和子 大和大学, 保健医療学部, 教授 (30739420)
石橋 孝昭 熊本高等専門学校, 情報通信エレクトロニクス工学科, 准教授 (60455178)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | デジタルデバイド / 視覚障害者 / 読書き支援 / タブレット端末 / 触読機能 |
研究実績の概要 |
急な疾病や交通事故などが原因で突発的に失明の状態にさらされた視覚障害者は、何を頼りに文書情報を取り扱うことができるだろうか。日本では、「読み書き」が普通にできていたのに、突発的な疾病や事故が原因で視覚を失い、離職を余儀なくされた人が数多くいる。本研究は、高齢化社会の進行に伴い、顕著に増加傾向にある中途視覚障害者のデジタルデバイドを改善するための情報支援端末の開発とその実証評価を行う。本研究は、視覚情報を失った障害者が新規に提案するペン入力方式のスマート端末を利用することで、視覚情報が なくても手書きで文書を入力したり、表示されたテキスト文字を「指なぞり」することで触読を可能とする夢のスマート端末を 実現することを目的とする。 この実現のために、スマート端末の画面上に表示された膨大なテキスト文書から,任意の画面上を「指なぞり」することにより当該位置にある文章を音声で読み上げる機能を新規に提案する。この機能を既開発のス マート端末に実装し、点字の修得が困難な中途視覚障害者のデジタルデバイド(情報格差)の解消に向けたスマート端末の基本設計思想を明確にし、そのプロトタイプの試作機を開発すると共に、理療実習における医療筆記支援機器への実用性を検証した。特に、画面情報なしで、視覚障害者がフォルダやファイル名の選択をする手段について、指なぞりで検索できるような手法の導入を検討し、上下のスワイプと左右のスワイプを用いた手法の導入化を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、理療教育課程の授業における、従来のデジタル録音機能とペン入力を併用した学習過程を想定し、自学自習時に、ノートテイクしたメモの内容を自由に指なぞりで読み上げる基本機能を有するプロトタイプの試作を行った。本研究で提案する指なぞり読み上げ機能については、平成30年8月31日付けで知財を取得した(特許第6391064号)。この機能 が視覚障害者が実践な就業現場において有効に活用できることを実証するため、軽量タイプのスマート端末(iPadなど)上に実装し、なぞり読みにおける視覚障害者が利用しやすいインタフェース機能について以下のような課題について検証を行った。 ①受付や施術室、事務室など場所を選ばずに、理療情報を効率的に活用する情報取得機能の充実(検索機能)。 ②仮想的な触読を実現するための指なぞり音声読み上げ機能(音読)の実装。 ③理療科にて従来のデジタル録音機の利用との比較検証。 ④読み飛ばし検索機能の基本構想の策定。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、既開発の指なぞり読み上げ機能を実装したタブレット端末を用いて、以下の項目について研究を行う。 ①仮想的な触読を実現するための指なぞり音声読み上げ機能(音読)の実装と読み飛ばし検 索機能の実用化 ②音声読み上げ時における、読み上げ速度のコントロール機能の実装 ③読み上げ対象を拡大するために、一般のPDF原稿の読取り機能の追加と、指なぞり読み上げ 機能による教科書などへの応用の検討 これらの機能を追加し、視覚障害者が利用しやすい文書読取りシステムへの開発へと展開する。
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