研究課題/領域番号 |
18H03564
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
中山 剛 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害工学研究部, 研究室長 (90370874)
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研究分担者 |
松日楽 信人 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20393902)
尾形 邦裕 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (40641436)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 褥瘡予防 / 車椅子 / ずれ力 / 慣性センサ / 簡易臀部モデル / シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では動力学シミュレーション技術を用いることで、車いす上での様々な動作中に身体にかかる負荷(主には皮膚に掛かる荷重でせん断方向も含む)を定量化することで、動作中による褥瘡リスクの定量化を目標としている。2019年度では「ヒトの臀部形状ならびに縦弾性係数(ヤング率)の計測」「車いすを漕いでいる際の車いす座面上のずれ力の計測」「運動解析とモデル構築」「ダイナミクスシミュレータ(V-REP)を用いたシミュレーションモデルの構築」の4つの項目を実施した。 実験協力者2名を対象として臀部の縦弾性係数の計測を行った。また、実験協力者6名を対象として車いすを漕いでいる際の車いす座面の接触圧と車いす座面上のずれ力を計測し、姿勢センサ方式によるモーションキャプチャーを用いて車いすを漕いでいる際のヒトの動作を取得した。更に関節位置を推定可能な身体モデルを構築し、車いすを漕ぐ際の運動解析を実施した。車いす座面から膝までの距離を測り、5cm程度ずれ量を生じた際の前後のずれを計測した(腰を動かす前後の距離の差をずれ量とした)。なお、このずれ量の測定方法は日本シーティング・コンサルタント協会の「ずれ度JSCC版」を参考にした。そして、関節位置を推定可能な身体モデルから求めた腰を動かす前後の臀部の位置の差(ずれ量)ならびに腰部に取り付けた姿勢センサ(MVN Awinda)の専用ソフトウェアによる臀部の位置の差(ずれ量)と比較した。また、ダイナミクスシミュレータ(V-REP)によりシミュレーションモデルの構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の当初に立てた研究実施計画における4つの項目に関して当初の予定通りに遂行できたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は主に以下の5点を行う予定である。 ・ヒトの臀部形状ならびに縦弾性係数の計測:3次元形状計測装置等を用いて座位による臀部の変形を計測することならびにヒトの臀部の縦弾性係数の計測を継続する。 ・車いすを漕いでいる際の車いす座面上のずれ力の計測:車いすを漕いでいる際の車いす座面上のずれ力の計測を継続するとともに、接触圧計測装置を用いて車いすを漕いでいる際の車いす座面と車いす利用者の臀部の接触圧を計測し、その計測結果と車いすの漕ぐ速度や座面角度あるいは車いす利用者の身体状況などとの関係を検討する。 ・運動解析とモデル構築:任意の環境において運動を計測するために姿勢センサ方式によるモーションキャプチャーを用いて人の動作の取得を継続する。引き続き構築した姿勢センサで高精度に関節位置を推定可能な身体モデルの改良を行う。 ・前年度に引き続きダイナミクスシミュレータ(V-REP)によるシミュレーションモデルの構築と改良を継続する。車いすユーザが実際に手動車いすを漕いでいる際の運動をシミュレーションできるモデルを構築する。シミュレータでは人の身体を多数の剛体として近似し、動力学計算を行う。任意の関節角度軌道を入力として与えることで運動のシミュレーションを行う。身体に受ける外力をシミュレーションするために、人の臀部の形状と弾性を簡易的に模擬したモデルを用いる。クッションなどの評価において人の臀部を半球の組み合わせとしてモデル化していることが知られている。本研究でもシミュレーションモデルの臀部は半球の組み合わせとして簡易に構成する。また、環境との間においてバネ・ダンパモデルを用いることで臀部の柔らかさを簡易的に模擬する(簡易臀部モデル)。この臀部モデル上の数カ所に力を観測できる点を設けることで臀部にかかる力をシミュレーションが可能になる。 ・得られた実験結果と成果の取り纏めと総括
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