研究課題
従来のRGBカラー画像に基づく色覚シミュレーションでは,原理上どうしても欠落する情報が存在するが,その欠落はスペクトル情報に基づく技術開発で防ぐことができる.スペクトル情報に基づく色覚研究のメリットは,色弱者等の色彩感覚を正確に見積もることができる点である.今年度の研究では,RGBカラー画像に基づく色覚シミュレーションでは,色弱者等の色彩感覚を正確に予測することができないことを,分担研究者と共同で確認する研究を進めた.具体的には,1型色覚者と2型色覚者がRGBカラー画像から知覚する色彩感覚を,SD法を用いて調査し,その結果を因子分析法などを用いて解析した.また1型色覚者と2型色覚者の見えを,従来のRGBカラー画像を用いるシミュレーション方式で模擬し,画像を分析すると共に色彩感覚実験の結果と比較した.その結果,従来方式のシミュレーションでは,画像にほとんど違いが見られない場合であっても,1型色覚者と2型色覚者が感受する色彩感覚は,実際には大きく異なる場合が存在する等が明らかになった.また高齢者の色彩知覚については,薄暮における手すりの見えを題材に,高齢者の視認性を確認し,色知覚と視認性の差異について研究を進めた.色覚健常者と色弱者の色彩感覚の違いを顕在化する手法は他にも想定され,今年度は複数の顕在化手法,技術手法について,探索的に研究を進めた.
2: おおむね順調に進展している
スペクトル情報に基づく予測・評価法のメリットが確認できたこと,色覚健常者と色弱者の色彩感覚の差異を確認できたこと,高齢者の色知覚と視認性の差異を確認できたこと,等において研究の進捗が見られた.
研究計画に対し,研究は概ね順調に進んでいる.特に色弱者の色彩感覚の差異に焦点を当てることで,興味深い知見および研究成果が得られると期待される.
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件)
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