研究課題/領域番号 |
18H03583
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
遠藤 基郎 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (40251475)
|
研究分担者 |
高橋 慎一朗 東京大学, 史料編纂所, 教授 (10242158)
藤原 重雄 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (40313192)
川本 慎自 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (30323661)
菊地 大樹 東京大学, 史料編纂所, 教授 (80272508)
横内 裕人 京都府立大学, 文学部, 教授 (50706520)
藤井 雅子 日本女子大学, 文学部, 教授 (20440084)
大田 壮一郎 立命館大学, 文学部, 教授 (00613978)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 中世東大寺 / 中世東寺 / 中世醍醐寺 / 中世春日大社 / 記録 / 日記 / 史料論 / 寺社組織 |
研究実績の概要 |
南都春日大社について、写真帳の蒐集・翻刻の蓄積を進める一方で、その前半を昨年度雑誌掲載ずみの応仁・文明の乱直前の寛正5年の記録が完結した(藤原・土山『寛正五年中臣祐識記』(下)『東京大学史料編纂所研究紀要』32)。 東大寺関係では、『中世東大寺記録出世後見・倶舎三十講関連史料』(『東京大学研究成果報告』2021-16)を刊行した(PDFオンライン公開)。寺内重要ポストのひとつ出世後見について今後の基礎となる成果となった。東大寺法華会・維摩会関係の翻刻も蓄積し、原本調査により精度を高めた。昨年度刊行した執行関係記録の一つを十二分に活用した大和荘園の研究を発表するなど、東大寺記録の可能性を示した。中世後期東大寺堂衆の残した記録類については、オンラインで校訂作業が進められた。科研内部で二度の研究会を行った(報告者菊地・横内)。 京都醍醐寺関係では、太元帥法関連の翻刻・検討作業を進めた。それに関連して太元帥法の歴史的変遷を明らかにしつつ、室町後期・安土桃山期の大名毛利・島津のもとでの事例検討の論文が出された。この他、安土桃山期の座主義演准后の日記ついての史料論的成果も得た。 東寺関係では、『東寺執行日記』第1冊(思文閣出版)の刊行は特筆すべき成果である。鎌倉時代最末期から、応仁の乱直前までをおさめた、東寺寺内の運営はもとより、東寺長者を出す醍醐寺、さらには室町幕府との関係についても新たな知見を示すことができ、今後の活用が期待される。刊行に際しては、特に馬田綾子氏の協力を得た。感謝する次第である。第2冊刊行の作業を進め、錯簡の激しい応仁・文明記については内部研究会で検討した。復元編集方針を確定した。残念ながら2022年度公開促進費には不採択であったが、2023年度は採択された(2023年4月)。このほか平行して最終第3冊の原稿作成も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
刊行できた翻刻史料が報告書(14点)、雑誌(2本)であり、寺社記録の研究資源化に寄与した。 「東寺執行日記」は、第1冊の刊行。また第2冊刊行のための原稿が整い、出版可能性が確実となり、学術振興会公開促進費の申請に到った。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度(5年次)は最終年度で研究成果を報告書でとりまとめ、それをもとにした第2回目の公開研究会を開催する計画である。各グループは4年間の知見のとりまとめが課題となる。 それ以外としては、東大寺は、残った東大寺法華会・倶舎三十講・興福寺維摩会などの翻刻・校正作業を行い、史料集刊行の準備に邁進する。法華堂関係は、協業作業により精度を高める。春日大社は、従来通りに着実に翻刻の蓄積と、雑誌などでの刊行をはかる。「東寺執行日記」は、公開促進費の採択が不採択(2022年4月)となったため再度の申請に備え内容の吟味と精度の向上を行う。醍醐寺は、翻刻史料を刊行できるように校正作業と内容分析を進める。仁和寺はこの集積されたデータの研究利用の便宜をはかるようにする。
|