研究課題/領域番号 |
18H03589
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研究機関 | 札幌学院大学 |
研究代表者 |
臼杵 勲 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (80211770)
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研究分担者 |
木山 克彦 東海大学, 人文学部, 准教授 (20507248)
佐川 正敏 東北学院大学, 文学部, 教授 (40170625)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
笹田 朋孝 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (90508764)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 匈奴 / 遊牧国家 / 生産 / 窯業 / 中心地 / 探査 |
研究実績の概要 |
2022年度調査として、コロナウイルス流行の影響で調査時期がずれたが、ケルレン川上流域のKBS3遺跡の匈奴時代窯跡との比較検討を目的に、前年に確認したアルハンガイ県ハルヒラー川流域のKHG1窯址群の、全体測量、発掘調査と試掘・磁気探査による範囲確認調査を23年8月に実施した。遺跡は河岸段丘上の平坦地に立地し、条件はKBS3遺跡と共通する。また、匈奴時代の窯跡1基、ウイグル時代の窯跡1基を確認し、発掘した。匈奴時代の窯は、燃焼室・焼成室が良好に残存し、形態を明らかにすることができた。半地下式・煙道1基という形態、粘土の積上げによる天井構築、複数回の使用という共通性とともに、板石の利用や全体の規模など構築上の相違を確認した。KBS3遺跡との技術的な差異も明確化するため、瓦片による焼成温度・胎土の分析の試料を採取した。出土炭化物の年代測定では、前2~1世紀ころと、KBS3遺跡よりやや古い年代が得られ、技術導入元の違いの他、時期的な差も想定される。また、窯内より西南5kmに位置するハルガニン・ドゥルブルジン城址と同笵の「天子単于」銘軒丸瓦片が窯内より出土し、両者の関係を確認した。この窯跡では、瓦・センが主体に生産されていたが、土器の一定量出土した点ではKBS3遺跡と異なる。一方、試掘・磁気探査結果では、河川流路変動による遺跡の攪乱が激しく、おおよその分布範囲を確認したにとどまった。しかし、窯を隣接させ連続的に構築するのではなく、一定の距離を置いて構築したことが推測され、KBS3遺跡の状況に近い。また、城址の出土量と、予想される工房の規模から見て、別の窯址群からも城址に瓦が運ばれた可能性が高いと考えられる。この点では、特定の城址への供給を中心としたKBS遺跡群とは若干異なる様相となる。 以上のように、匈奴の窯業生産を具体的に示す、良好な資料が得られた。
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現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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