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2020 年度 実績報告書

考古学・人類学・文化財科学の学際的研究による縄文社会論の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 18H03593
研究機関東京都立大学

研究代表者

山田 康弘  東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (40264270)

研究分担者 設楽 博己  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (70206093)
米田 穣  東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
太田 博樹  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40401228)
山崎 健  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (50510814)
五十嵐 由里子  日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60277473)
谷畑 美帆  明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (10440174)
水嶋 崇一郎  聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (90573121)
日下 宗一郎  東海大学, 海洋学部, 特任講師 (70721330)
覚張 隆史  金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 助教 (70749530)
石丸 恵利子  広島大学, 総合博物館, 研究員 (50510286)
坂本 稔  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
齋藤 努  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50205663)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード縄文時代 / 考古学 / 人類学 / 人骨 / 墓制 / DNA / 盤状集骨葬
研究実績の概要

2020年度は、コロナ禍のために、資料へのアクセスが不可能となったものも多く、研究そのものの進捗状況は決して芳しいものではなかった。そのような中でも、昨年度サンプリングを実施した愛知県伊川津貝塚出土人骨5体から、遺存状態のよいDNAを採取することができた。これらの事例は、年代測定の結果時期的に晩期後半にまとまり、同じ埋葬姿勢をとり、一つの埋葬小群を構成するものであり、今後の解析が順調に進めば、縄文時代の事例としては初となるDNAレベルでの血縁関係の推定例として、成果を出すことが可能となる。ひいては、墓域中における埋葬小群の内容について、考古学的な仮説(埋葬小群を3世代程度の小家族集団の歴史の一部と捉える)を検証することも可能となり、現在さらなる考古学的な分析を進めるとともに、DNA分析結果を比較検討しつつあるところである。
また、愛知県保美貝塚から我々のチームが検出した盤状集骨葬例の整理と分析も進んでいる。現在、詳細な図面の整理もほぼ終了し、これをもとに年代測定を行い、盤状集骨葬の形成過程(タフォノミー)の検討を行っている。その結果、保美貝塚の盤状集骨葬例は、少なくとも7基の盤状集骨が組み合わさってできたものだということも判明した。それぞれの盤状集骨の人類学的属性などについてもSr同位体分析が進められ、縄文時代晩期における特殊な墓制の形成理由が解明されつつある。
この他、伊川津貝塚出土人骨から核DNAの抽出に成功し、その内容をCommunications Biology 3に発表することができ、また千葉県中峠貝塚出土人骨の出土状況や全国各地の洞穴遺跡における人骨の出土状況について検討することができた。最終的には論文を5本発表し、学会発表を3件、小冊子・リーフレットへの寄稿を2件行うことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍への対策により、在宅勤務を命じられた、あるいは出土人骨を保管する機関へ訪問が許可されなかったなどにより、研究資料へのアクセスが非常に難しくなったため、研究代表者・分担者ともに計画していた研究活動を行うことが困難となった。このため、既存の文献資料やデータベース等に公開された資料について検討を加える作業が中心となり、新しい資料による検討が遅れている。ただし、すでにサンプリングが進んでいた資料に関しては研究も進んでおり、必ずしも研究全体が遅れているという状況ではない。
また、考古学的な分析に関しては、従来の研究史の見直しや考古学的仮説の検証と再構築、これまでの発掘調査による出土資料の整理などを逐次進めており、こちらに関しては順調に進めることができている。
これらの点を総合的に判断すると、研究自体は進んでいると言えるが、新規のサンプリングが行えていないことから、当初の研究計画全体からすれば、進捗状況はやや遅れていると判断される。

今後の研究の推進方策

現在の研究状況は、やや遅れていると判断されるが、それは新規のサンプリング資料の入手が難しくなったためと、原因ははっきりしている。それを補う形で研究体制、関係機関への連絡・調整などはすでにすんでおり、あとはコロナ禍さえ落ち着けば、当初の計画通り研究は進展すると考えている。幸いにも昨今コロナ禍は落ち着きを見せつつあり、今後は感染症への対策を十分にした上で、資料を保管する各機関とも密に連絡をとり、人骨資料のサンプリングを行い、各種分析を進めることができそうである。一方で既存のサンプリングデータ、資料に関してもさらなる分析・検討を進め、研究全体の進捗状況を調整していきたい。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Ancient Jomon genome sequence analysis sheds light on migration patterns of early East Asian populations2020

    • 著者名/発表者名
      Takashi Gakuhari, Shigeki Nakagome, Yasuhiro Yamada, Hiroki Oota et al.
    • 雑誌名

      Communications Biology

      巻: 3 ページ: 1-10

    • DOI

      10.1038/s42003-020-01162-2

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Analysis of ancient human mitochondrial DNA from Verteba Cave, Ukraine: insights into the origins and expansions of the Late Neolithic-Chalcolithic Cututeni-Tripolye Culture.2020

    • 著者名/発表者名
      R. Schmidt*, K. Wakabayashi, D. Waku, T. Gakuhari, K. Koganebuchi, M. Ogawa, J. Karsten, M. Sokhatsky, H. Oota
    • 雑誌名

      Anthropological Sciences

      巻: 128(1) ページ: 1-10

    • DOI

      10.1537/ase.200205

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 中峠遺跡第8次調査第1号住居址内における人骨の出土状況について2020

    • 著者名/発表者名
      山田康弘
    • 雑誌名

      下総考古学

      巻: 25 ページ: 212-216

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 洞窟遺跡の墓制2020

    • 著者名/発表者名
      山田康弘
    • 雑誌名

      季刊考古学

      巻: 151151 ページ: 63-65

  • [雑誌論文] 七五三掛遺跡出土人骨の古病理学的所見2020

    • 著者名/発表者名
      谷畑美帆
    • 雑誌名

      明治大学黒耀石研究センター紀要

      巻: 11 ページ: 119-123

  • [学会発表] 岩手県蝦島貝塚および岡山県彦崎貝塚出土人骨の年代測定による墓域構造の検討2020

    • 著者名/発表者名
      山田康弘・米田穣・坂上和弘
    • 学会等名
      第74回日本人類学会大会
  • [学会発表] 縄文時代におけるいわゆる「廃屋墓」をめぐる諸問題-姥山貝塚・加曽利北貝塚検出例を中心に-2020

    • 著者名/発表者名
      山田康弘
    • 学会等名
      日本考古学協会第86回総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 墓から出土する資料から感染症を考える ―先史から近世まで―2020

    • 著者名/発表者名
      谷畑美帆
    • 学会等名
      駿台史学会2020
    • 招待講演
  • [備考] 考古学・人類学・文化財科学の学際的研究による縄文社会論の再構築

    • URL

      https://arch-yamada.hatenablog.com/

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公開日: 2022-12-28  

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