研究課題/領域番号 |
18H03594
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
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研究分担者 |
箱崎 真隆 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 特任助教 (30634414)
三宅 芙沙 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (90738569)
中尾 七重 山形大学, 理学部, 研究員 (90409368)
木村 勝彦 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (70292448)
尾嵜 大真 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (20399265)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 放射性炭素年代法 / 年輪年代法 / 較正曲線 / 地域効果 / 微細構造 |
研究実績の概要 |
2018年6月27日,東京大学総合研究博物館で研究会を実施し,日本産樹木年輪の炭素14年代測定の状況について研究組織内での共通理解を得た。屋久スギについては研究分担者により既に過去3,000年分の測定が先行しているが,宇宙線強度変動の復元が主な目的である。日本列島周辺の地域効果を議論するには地域的な偏りもあり,日本列島周辺のデータ比較に利用することを確認した。 昨年度までに1年おきの測定の炭素14年代測定の進んでいたさいたま市青葉神社のヒノキ材について,今年度はその間を埋める測定を山形大学で実施した(17世紀~18世紀)。また,坂井市教育委員会から提供いただいた丸岡城の保存古材の測定を山形大学で実施した(15世紀)。さらに,紀元前7~6世紀の信楽町出土ヒノキの測定を東京大学総合研究博物館で実施した。17世紀~18世紀の日本産樹木年輪の炭素14年代の挙動はIntCal13とSHCal13の中間に位置し,15世紀はIntCal13に近い結果が得られた。なお信楽ヒノキ材の測定では,紀元前664年と663年の間に,太陽フレアの影響と思われる急激な炭素14濃度の上昇を確認した。この成果は2019年にアメリカで開催される「第9回放射性炭素と考古学」国際シンポジウムで公表を予定する。 2018年6月18~23日にノルウェーで開催された第23回国際放射性炭素会議に出席し,研究動向を調査するとともに昨年度までに測定された日本産樹木年輪の炭素14年代を報告した。席上でIntCal Working Groupのメンバーと議論し,2019年に公開を予定する次期較正曲線IntCal19に日本産樹木年輪の炭素14年代を反映させるための手続きを確認し,帰国後データの提供を行った。データの反映は論文執筆が前提であり,2019年度中の投稿を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
測定すべき樹木年輪資料はほぼ収集済みである。2018年度に技術補佐員を雇用して実験室での作業効率の向上を図り,今年度の測定を推進できる状況にある。またIntCal Working Groupと接触することができ,データ提供に関する協力関係を結ぶことができた。概ね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
13~14世紀の樹木年輪(専修寺ヒノキ材)の炭素14年代測定を実施する。これにより濃淡はあるものの,過去3000年分のデータをつなぐことができる。また,弥生から古墳にかけての時間軸の精度向上のために,仙台市中在家南遺跡隣接地より出土したケヤキ材,および韓半島出土の古材の測定を計画する。
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