研究課題/領域番号 |
18H03604
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
増田 研 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (20311251)
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研究分担者 |
波佐間 逸博 長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (20547997)
宮地 歌織 佐賀大学, 芸術地域デザイン学部, 客員研究員 (40547999)
山本 秀樹 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50243457)
宮本 真二 岡山理科大学, 生物地球学部, 准教授 (60359271)
田川 玄 広島市立大学, 国際学部, 教授 (70364106)
林 玲子 国立社会保障・人口問題研究所, 国際関係部, 部長 (70642445)
野口 晴子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90329318)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アフリカ / 人口高齢化 / 社会福祉 / 国際保健 / 公衆衛生 / 人類学 / 民族誌 / 人口動態 |
研究実績の概要 |
2019年度は年度当初の計画のうち、TICAD公式サイドイベントの開催と国内・国際学会での研究発表に注力した。当初計画のなかでケニアおよびエチオピアにおける調査許可の取得については、年度末に発生した新型コロナウィルスによるパンデミックの影響により渡航が不可能になったこと、および、現地研究機関が業務を停止していることにより、手続き等を進めることができなかった。 第7回アフリカ開発会議(TICAD VII、2019年8月に横浜で開催)では、公式サイドイベント「アフリカの人口高齢化:高齢者ケアへの最新のアプローチと大陸を超えた学びの共有」を開催し、セネガル、ケニア、インドネシアから招へいした専門家と本プロジェクト代表者による講演を行った。本イベントは、科研プロジェクトを主催とし、高齢化を取り上げた集会としてはTICADでは初の試みとなった。その後、イベントの成果を英文報告書としてまとめ、プロジェクトが新たに立ち上げたウェブサイトGlobal Ageing Study Group(http://global-ageing.org/)にてウェブ公開された。 学会活動としては、2019年5月に京都で開催された日本アフリカ学会学術大会において、ケニアで進めている現地調査の予備的成果を発表した(優秀ポスター賞を受賞)。また、日本国際保健医療学会において自由集会「グローバルエイジングへの国境なき挑戦」を開催し、国際保健領域への成果還元に努めた。 国際学会では、2019年9月にスペインのタラゴナで開催された国際学会「高齢者と従属者のためのケア:ジェンダー平等と社会的正義」に増田と宮地が出席し、ケニアにおける調査結果を発表した。また11月にはメンバーのうち増田と林が第8回アフリカ人口会議に参加し、林が2件の研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、2020年度に実施することを検討していた国際ワークショップに代わるものとして、2019年8月に一年前倒しする形でTICAD公式サイドイベントを実施した。またこれまでの研究の蓄積を国内・国外の学会で発表し、研究者ネットワークを広げたという点では、当初の予定よりも速く進んでいる。 他方で、ケニア共和国のクワレ県で実施を計画している高齢者の世帯調査については、まだ着手できていない。理由として新型コロナウィルスのパンデミックにより海外渡航が出来ず、かつ、ケニア側の研究機関が業務を停止していることがある。それにともない倫理申請ならびに調査許可の取得に時間を要していること、また、現地調査が強く依存する人口動態サーベイのシステム(HDSS)が、長崎大学ケニア拠点により新設計されることになり、その運用開始を待つことになったことも理由である。 なお、既存のHDSSデータの分析は継続しており、その解析結果を反映させた形で調査計画の改定を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は新型コロナウィルスのパンデミックの状況を確認しながら、下記の点について引き続き活動を継続する。 (1)オンラインによる国内研究会の開催を通じた、最新の研究動向の把握(今年度の継続)、および現地調査の進捗の報告と情報共有。(2) ケニア共和国・クワレ県におけるHDSSデータの解析:長崎大学およびケニア中央医学研究所が実施する人口動態サーベイランスシステム(HDSS)データの解析を進めるとともに、本研究の調査票をシステムに載せて新たなデータの取得を進める。(3)ケニア共和国・クワレ県における調査許可の取得と、それに伴う倫理申請を進める。また本実施の準備のために、クワレにおける現地リサーチャーのトレーニングを実施する。(4)エチオピアおよびケニアにおける人類学的フィールドワークの実施。(5)ケニアにおいて高齢者ケアに関するワークショップを開催する。(本プロジェクトはアフリカ研究、国際保健学、人口学のほかコミュニティ研究としての公民館学とも関連を持ち、各種学会において交流を促進している。2020年3月にはケニアのケニヤッタ大学および帝京大学との連携によりワークショップを企画したが、新型コロナウィルスのパンデミックにより実現しなかったため次年度に延期する次第である。)
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