研究課題/領域番号 |
18H03614
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 隆司 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (70210573)
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研究分担者 |
佐伯 仁志 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (10134438)
宍戸 常寿 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (20292815)
徳本 広孝 中央大学, 法学部, 教授 (20308076)
井上 達夫 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (30114383)
城山 英明 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 教授 (40216205)
米村 滋人 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40419990)
藤垣 裕子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50222261)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 研究不正 |
研究実績の概要 |
本年度は、ドイツ学術協会(DFG)のオンブズ委員会議長をつとめ、その後も研究不正対応の実務に携わっているハンブルク大学のハンス-ハインリッヒ・トゥルーテ教授を招聘して、講演会を開催し討議を行った。この講演から、次の点が判明した。ドイツの研究不正対応の制度は、紛争の調停のためのオンブズ委員会と調査委員会の二段階から構成される。ドイツの制度の特徴は、DFGが研究不正のすべての事案につき責任を負うが、すべての大学、研究機関が委員会を設けているという分権的な構造にある。これに加えて、「ブロニプラグ」のような民間の調査機関が重要な役割を果たしている。しかし、各大学・研究機関においては、委員会への影響力の行使が事実上あり得ること、調査のために膨大なリソースを投入しなければならず、しかし調査の手段が限られていることに、課題がある。対策としては、各研究機関の研究不正対応を支援する統一的・専門的なサービス機関を設けることにあろう。研究不正の通報者の保護が、ドイツでは一般的な制度により図られておらず、研究不正の調査の妨げになっている点も、今後改善すべき課題である。しかし、研究不正対応にあたって何より重要な点は、研究不正を単に個人に帰責させるのではなく、組織文化の問題と捉えることである。研究不正を理由とした学位の剥奪の適法性については、豊富な判例があるが、これについては、学問共同体・学問プロセスを尊重した判断が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究不正に対応するための制度の一つの典型ともいえるドイツの制度について、実務上の経験と、公法学・社会学の研究の両方に裏付けられた講演をしていただくことにより、今後の比較制度研究のための重要な観点が判明したから。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究不正に対応するための制度の比較研究として、ドイツの実務担当者からさらに聴取を行うとともに、日本でしばしば参照され、ドイツとは異なる特徴をもつアメリカにおける制度について、研究を開始する。
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