研究課題/領域番号 |
18H03616
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
江島 晶子 明治大学, 法学部, 専任教授 (40248985)
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研究分担者 |
建石 真公子 法政大学, 法学部, 教授 (20308795)
北村 泰三 中央大学, 法務研究科, 教授 (30153133)
小畑 郁 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (40194617)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 循環的人権システム / 多元的人権システム / 非階層的人権システム / 人権システム理論 / 憲法と人権条約 / ヨーロッパ人権条約 / 国内人権機関 / 人権条約の国内実施 |
研究実績の概要 |
本研究は、国際主義と自国第一主義が拮抗する現代社会の問題状況を見据えつつ、憲法が想定する人権実施システム(統治機構)と人権条約が想定する人権実施システム(条約機構)の接合による、人権を実効的に保障するシステムの構築を探求する。その目的は、地球上、どこにいても一定の人権が保障されるという理想を実現するためのシステム構築である。研究計画全体としては、「人権を実効的に保障するシステム」が構築できるかという問いを、以下の(a)~(b)の三つに分節して取り組んでいるが、本年度はそのうち、理論構築の前提となる実証研究にとりわけ重点を置いた。(a) 現実に人権を保障する具体的場面において統治機構(憲法)および条約機構(国際法)がどのように機能するかに関する比較実証研究を行った、(b) 憲法が想定する人権実施システム(統治機構)と人権条約が想定する人権実施システム(条約機構)が、いかなる場面において、どのように接合されると、それが人権の実効的保障にどのように寄与するかを析出した。その際に、人権条約の司法的実施だけでなく、①条約制定過程、②条約批准過程、③発効後の国内実施と国際実施という三つの場面を動態的プロセスとして把握すると同時に、新しいアクターとしてNGO、企業といった非国家的アクターや国内的人権機関を加えた。(c) 実効的人権システムの構築という視点から日本の憲法学および国際法学の理論を再検証した。具体的には研究会を8回開催し、各人の研究報告・判例報告を行うと同時に、海外から研究者およびヨーロッパ人権裁判所裁判官を招聘し、研究会 ・講演会(後者は公開し成果の社会的還元をはかった)を開催した。同時に、関係国・関係機関を訪問し、調査・資料収集を行った上、分析・検討した上、その成果についても研究会で報告および意見交換を行った。一定の成果が出たものについては論文等を通じて公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①研究会活動は、当初年3回を予定していたが、外国研究者を囲んでの研究会を実現できたので、合計8回開催することができ、予定していた以上に積極的な研究活動が実現できた。 ②テーマについての研究メンバー間の意見交換を充実させることによって、研究内容を明確にすることができた。 ③同時に、海外研究者およびヨーロッパ人権裁判所裁判官を囲んでの研究会および講演会から、貴重な比較法的知見を得て、実証研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、研究会の開催を通じて、全体テーマのポテンシャルがより一層明確になった。2019年度はこれをベースとしつつ、研究会メンバーの判例報告・研究報告を持続的に行い研究会としてさらに活動実績を積み重ねる一方、2018年度の国際・国内社会の動向を踏まえながら、外国研究者・実務家との意見交換(国際セミナー、ワークショップ等)を通じて、これまで得られた研究成果について批判的検証を行っていく予定である。
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