研究課題/領域番号 |
18H03633
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
大山 睦 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (20598825)
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研究分担者 |
清田 耕造 慶應義塾大学, 産業研究所(三田), 教授 (10306863)
児玉 直美 日本大学, 経済学部, 教授 (10573470)
神林 龍 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40326004)
島貫 智行 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (40454251)
杉原 茂 日本大学, 経済学部, 教授 (60397685)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 産業組織論 / 労働経済学 / 人的資源管理 / 経営管理 / ネットワーク分析 |
研究実績の概要 |
本年度は、データ分析に多くの時間と労力を費やし、研究成果の一部を国際学会や国内の研究報告会で報告した。具体的には、マネジメントの役割についての産業比較と国際比較、マネジメントとビジネス取引関係、マネジメントと人的資源管理のテーマにおいて実証分析が進んだ。産業比較においては、製造業、小売業、卸売業、情報サービス業、運輸業、医療業に関する組織マネジメント調査のデータを利用し、マネジメントと生産性の関係、マネジメントと組織形態、マネジメントと競争環境の関係を分析した。全ての産業において、質の高いマネジメントが生産性の向上に寄与していることがデータ分析で明らかになった。マネジメントの質は企業文化よりも組織形態から影響を受け、競争的な環境がマネジメントの質の向上を促すことも分かった。国際比較においては、国際共同研究の形で行われ、アメリカ、イギリスを含む10カ国のデータを用いて分析し、各国特有の文化や環境がマネジメントのあり方を決定するのではなく、むしろ国の枠組みを超えて、多くの共通点を見出す結果となった。マネジメントとビジネス取引関係の分析では、質の高いマネジメントは取引関係の多様性を実現させるだけでなく、安定した結果をもたらすことを示唆した。マネジメントと人的資源管理の分野では、研究成果を論文としてまとめた。様々なテーマから横断的に知見を得ることができ、使用しているデータやマネジメントの役割についての理解が深まった。この事は本研究の質を高め、論文執筆への良い準備ができた。研究代表者と分担者がInternational Management and Organizational Practices Survey Conferenceに参加し、研究成果の一部を報告し、国際比較の共同研究についての進捗を確認した。次年度に実施予定の組織マネジメント調査の準備も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実証分析する為のデータ接続の作業が終わり、実証分析を集中的に行える状況になった。その結果、多くの研究テーマで実証分析が順調に進んだ。産業間比較のテーマでは、生産性の分析を全ての産業について事業所レベルと企業レベルの両方で行うことができ、競争環境の効果も様々な競争度合いの指標を用いて、分析を行うことができた。マネジメントと取引ネットワークのテーマでは、取引ネットワークの基本的な指標とマネジメントの質の関係をデータで把握することができ、今後は様々なネットワーク指標との関係を調べ、因果関係に迫る準備ができた。マネジメントと人的資源管理のテーマでは、頑強性分析など、細部に渡って再検証し、論文の質を高めることができた。国際比較も基本的な分析結果が出揃い、国際学会において今後の方針について議論できた。各テーマで実証分析が進むにつれて、各テーマで得た分析結果を違ったテーマで活用することもできた。次年度に実施する予定の組織マネジメント調査の準備も順調に進んだ。具体的には、サーベイ実施に向けてのスケジュールと本研究の研究者の役割を決定し、問題点について整理し、その対象方法を検討した。International Management and Organizational Practices Survey Conferenceで研究報告をしたことにより、本研究は国際的にも認知されるようになった。また、国際学会での意見交換がきっかけとなり、新たな国際共同研究に発展した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の大きな目標は、データ分析を進め、研究成果として論文を数本執筆すること、組織マネジメント調査を実施することである。データ分析によって得られた暫定的な結果を様々な角度から検証し、結果に対して経済学的な意味づけを行い、論文にまとめる。産業比較のテーマでは、分析結果をまとめるだけでなく、競争環境の効果について政策的含意を整理しながら、議論を深める。マネジメントと取引ネットワークのテーマでは、引き続き、帝国データバンクから提供される大量の取引ネットワークデータを扱うことになるので、帝国データバンクの協力を得ながら、データ分析を進める。国際比較においては、海外の共同研究者と協力し、国際学会などを利用しながら共同作業を進め、論文を執筆する。マネジメントと人的資源管理の分野では、論文を学術誌に投稿し、公刊に向けての作業を行う。組織マネジメント調査については、内閣府経済社会総合研究所と頻繁に打ち合わせを行い、調査の実施に向けて準備する。現時点では、2021年の1月から2月の間にサーベイ調査を実施する予定である。 研究代表者は担当するテーマでの研究を進捗させるとともに、研究全体の統括を行う。研究分担者は担当する研究を進捗させるとともに、研究代表者や他の研究分担者と情報の共有を図る。また、本年度に引き続き、International Management and Organizational Practices Survey ConferenceやEmpirical Management Conferenceでの研究報告も予定している。国際共同研究に積極的に参加し、共同研究を進めるだけでなく、意見交換なども行い本研究の質を高める。
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