研究課題/領域番号 |
18H03642
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
戸堂 康之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30336507)
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研究分担者 |
堀井 俊佑 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 准教授 (00552150)
清水 和巳 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20308133)
日野 愛郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30457816)
高橋 遼 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (40748349)
井上 寛康 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60418499)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ネットワーク / 大規模データ / 社会実験 / 閉鎖性 / グローバル化 |
研究実績の概要 |
1.大規模な企業データによる経済ショックの波及効果の分析 このサブテーマでは、様々な企業レベルデータを利用して、新型コロナウイルスや米中デカップリングに伴う保護主義的政策などの経済ショックが企業に及ぼす影響を、企業のネットワーク構造の違いによる異質性に着目して分析した。その結果、(1)海外の経済ショックが国内経済に及ぼす影響は、海外ショックを直接受ける産業の国内サプライチェーン構造に依存すること、(2)国際的に多様なサプライチェーンネットワークを持つ企業は自然災害(コロナ禍を含む)による経済ショックに対して頑健で強靭であったことが見いだされた。 2.ベトナム・エチオピア・インドネシアにおける独自データによる閉鎖性の分析 このサブテーマでは、独自に収集した企業もしくは農村家計レベルのデータを用いて、企業のグローバル化の要因や村外の「よそ者」に対する意識の形成要因を、企業や農家のネットワーク構造に焦点を当てて分析した。その結果、政治的な強いつながりが閉鎖性を強める半面、自然災害は条件次第で閉鎖性を強めることも弱めることもあることを見出した。 この2つのサブテーマ以外にも、政治性向に関するデータを利用してポピュリストに対する支持と政治性向に関する分析などを行った。以上の研究実績のいくつかは、すでに査読付き国際学術誌に掲載されており、それ以外についてはディスカッションペーパーとして発表した後査読付き国際学術誌に投稿中である。また、これらの結果もとに、サーベイ論文や政策提言論文も発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記載の通り、順調に研究成果を国際学術誌に発表することができた。それ以外の研究についても、ディスカッションペーパーとして発表したり、国際セミナーで発表したりできている。コロナ禍と米中デカップリングという重要な社会経済的な転機があったために、それらの経済的影響のネットワークを通じた波及に研究の主眼を置いたため、それ以外の研究はやや遅れているが、全体としてはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
すでに分析を手掛けているものの、まだ十分な結果が得られておらず、論文として成果を発表できていないものがいくつかあり、今後はこれらをまとめて発表していく。また、新型コロナウイルスの影響で、海外での学会への対面での参加はまだ難しいものの、オンラインで開催されるものについては積極的に参加していきたい。また、研究成果はコロナや米中デカップリング、ロシアのウクライナ侵攻によって分断が進んだ世界経済について示唆を与えるものも多く、これらの研究成果を一般向けや政策担当者向けに発信することも積極的に行っていく。
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