研究課題/領域番号 |
18H03646
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉見 俊哉 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (40201040)
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研究分担者 |
高野 明彦 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (00333542)
渡邉 英徳 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (00514085)
北田 暁大 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (10313066)
宇野 求 東京理科大学, 工学部建築学科, 教授 (20261935)
小泉 秀樹 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30256664)
中島 直人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30345079)
小林 正美 明治大学, 理工学部, 専任教授 (70247146)
毛利 嘉孝 東京藝術大学, 大学院国際芸術創造研究科, 教授 (70304821)
中村 政人 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (80361749)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | コンタクト・ゾーン / ジェントリフィケーション / クリエイティブ・シティ / カルチュラル・ヘリテージ / カルチュラル・スタディーズ / グローバリゼーション |
研究実績の概要 |
令和元年度以来、若手研究者チームと分担研究者チームの2つが並行して研究会と議論を重ねてきた。特に若手研究者は、「ポスト2020の東京をいかに考えるか」という問題意識から、上野・秋葉原・神保町という都心北部地域における都市の変容を探究してきた。しかし、2020年3月に新型コロナウィルス感染症の拡大が深刻化し、実際の都市のフィールドでの調査研究や対面での研究会開催がきわめて困難になった。試行錯誤の後、本プロジェクトでは、もともと2020年3月に実施するはずだった国際シンポジウムをオンラインで開催することにし、同年11月14日、オンライン国際シンポジウム「東亰新論:オリンピックの後にあったもの」を、日英2か国語で開催した。このシンポジウムには、米国からワシントン大学のケン・オオシマ教授、英国からロンドン大学のマイク・フェザーストン教授とトモコ・タマリ講師、台湾の東海大学から蘇睿弼教授にご参加いただき、それぞれ基調講演をしていただいた。これらの他、本プロジェクトの若手研究者チーム全員から、それぞれが進める研究の報告が行われ、それをめぐって研究分担者の先生方に加わっていただき、本研究プロジェクトと連携する「東京文化資源会議」の実践事例との関連について議論が重ねられた。会議の記録は、「東京文化資源会議」のホームページで公開された。 以上の他、コロナ禍のなかで迷走する東京オリンピックに関しては、国内外のメディア報道について資料の収集を進めた。これらの資料は、2021年夏の開催を経て、分析されることになる。さらに、研究代表者の吉見は、戦後東京と東京五輪の関係を社会学的視座から総合的に捉え直す著作として『五輪と戦後――上演としての東京オリンピック』(河出書房新社)を出版した。同書は、このプロジェクト全体の基礎となるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年3月から深刻化した新型コロナウィルス感染症の感染拡大と、それに伴って行われた様々な感染予防のための社会的行動の制限により、本プロジェクトも大きな打撃を受けた。まず、若手研究者を中心に組織しようとしていた対面での研究会やフィールドワークはほとんど実施不能になってしまった。すべてをオンラインに切り替えざるを得ず、研究持続のために11月14日にはオンライン国際シンポジウムを実施して大きな成果を得ることができたが、そのための準備もすべてオンラインで実施せざるを得なかった。 また、本来、本プロジェクトは2020年夏に開催されるはずであった東京オリンピックを視野に入れ、その開催後に東京がどう変化していくかを調べようとする意図を含んでいたが、オリンピック開催が延期となり、また当初の予想とはまったく異なる展開となったので、研究方針の大幅な変更をせざるを得なかった。私たちは、これまでの計画に加え、予想を超えて迷走を重ねた東京オリンピック開催に至るプロセスと、それをめぐるメディア報道についても本格的な社会学的分析を行うことし、そのための準備を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年3月以降の新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、本研究プロジェクトが前提にしてきた2020年夏の東京オリンピック開催は延期され、様々な想定外の曲折を経ていくことになった。本研究では、これまでも東京オリンピックと都市東京に関する様々な資料やデータ、メディアの報道記録を収集し、分析を重ねてきたことを踏まえ、このコロナ禍と東京オリンピックの変転の関係を検証する作業を、これまでの研究の延長線上にあるものとして展開していく。そのための特別プロジェクトチームを、本研究の若手研究者チームを中心に組織し、検証の成果を本として出版えすることを目指していく。 並行して、2020年3月以降の危機で現地で実施することが困難な状況にある東京都心北部の具体的な地域についてのフィールドワーク調査も、コロナ禍についての状況が改善されたならば、できるだけ早急に実施していきたい。当面、研究資料の収集など、対面環境を前提にしないでも実施可能な作業を中心とすることになる。 第3に、過去の東京オリンピックと東京に関して収集した映像資料について、デジタルアーカイブ化など中長期的な活用の基盤を整える。
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