研究課題/領域番号 |
18H03655
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
金子 元久 筑波大学, 大学研究センター, 特命教授 (10185936)
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研究分担者 |
小方 直幸 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (20314776)
両角 亜希子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (50376589)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大学教育 / 大学改革 / 大学生 / 大学教員 / 大学組織 |
研究実績の概要 |
本年度は当初計画に従って、次の作業を行った。 ① 教員調査。昨年度の学生調査への協力大学・学部に対して、所属教員への調査票の配布を依頼し、2019年末までに77大学・学部77大学、154学部、2,965人から回答を得た。それを入力してデータを作成し、一次集計を行った。 ② 昨年度に行った学生調査(77大学、154学部、32,913人)のデータを分析し、単純集計をもとにして第一次報告書を作成した。また協力学部に調査結果の概要と当該学部の結果を報告した。 ③ また第1回大学生調査(2007年)、今回大学生調査、大学教員調査を、大学・学部ごとに集計し、それをもとに、「学部単位データ」として、各学部を一単位として、学生と教員の回答の平均を連結したデータを作成した。 以上の結果にもとづいて、A.2007年度から2010年度にかけて行った第1回『全国大学生調査』、『大学教員調査』と今回調査の結果とを比較して、約10年間の間に、日本の大学生、大学教員にどのような変化が起こったかを分析した。とくに大学の授業、大学生の学習行動、教育の効果、能力の自己評価などについて詳細に分析した。B。大学教員についても、十年間での変化を、授業の実践、理念、大学のガバナンスについての意見などについて分析した。またC.学部単位データを用いて、学生と教員との対応関係について分析した。 以上をもとに2019年度高等教育学会で発表を行い、論文を発表した。また調査の質問票、主要な結果については東京大学大学経営政策研究センター(CRUMP)のウェブページに公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画にしたがって、大学生調査、大学教員調査を実施し、学生訳3万3千人、教員3千人と当初に予測していたよりも多数の学生、教員の協力を得ることができた。2007-10年に行った第一回調査よりも回答数は多少少ないが、一次的な分析によれば、二時点間の比較分析には支障がないことが明らかになった。 これまでの分析結果によれば、これまであまり議論されてこなかった論点がいくつも明らかになりつつある。主要なものをあげれば以下のとおりである。 ①大学生調査、教員調査のいずれからも、この十年間に大学教育の授業方法には顕著な変化があった。一般に「グループワーク」など学生参加型の授業が拡大しており、これは大学の設置者によっても変わらない。ただしそれは学生の授業外学習時間には影響を与えていない。 ②もう一方で、学生の授業への評価、大学教育全般への評価、能力の自己評価は顕著にプラスの方向に変化している。これが現実の変化と、学生の認知フレームの変化のいずれによるかが問題である。 ③大学教員の意識には一定のゆらぎが生じている。とくに大学教育の改革については懐疑的な傾向が生じている。また特に若手教員を中心として、ゼミ、研究室による教育体制、教授会を通じた大学自治への参加などについて従来よりも賛成が少ない。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は計画最終年であり、統計分析をさらにおこなうとともに、上記の論点を理論的に整理する。さらにそうした論点に対応して、小規模の調査を行う。また以上の研究結果をもとに、国内、国際会議を行う。
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備考 |
本サイトは東京大学大学院教育学研究科の大学教育政策研究センターのものであり、その中に本研究のデータ、報告書等が所蔵されている。
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