研究課題/領域番号 |
18H03657
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本田 由紀 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (30334262)
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研究分担者 |
二宮 祐 群馬大学, 大学教育・学生支援機構, 准教授 (20511968)
松下 佳代 京都大学, 高等教育研究開発推進センター(令和4年9月30日まで), 教授 (30222300)
小山 治 京都産業大学, 全学共通教育センター, 准教授 (50621562)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大学教育 / 社会的アウトカム / 学問分野 / パネル調査 / 習得度 |
研究実績の概要 |
2021年度においては、2019年に第1波調査を実施した追跡調査の第3波調査(大学卒業後2年目)および2020年に第1波調査を実施した追跡調査の第2波調査(大学卒業後1年目)を計画通り実施した。これらを完遂したことにより、各調査の第1波(大学最終年度在学時)で把握した人文社会科学系10分野の「習得度」が、大学卒業後の職業キャリアや職業スキル、社会意識などにどのような影響を及ぼしているかについての計量的分析を可能にする、独自性の高い調査データを予定通り収集することができた。 これらの追跡調査を活用した、現段階での分析結果について、学会で発表するとともに、シンポジウムを開催した。 さらに、上記の追跡調査では把握できていない、高校在学時から大学進学後にかけての進路選択や大学在学中の活動を、ジェンダーの視点を加えて詳細に把握するための「高校時代の進路・ジェンダー意識と大学入学後の行動に関する調査」をインターネットモニターに対して実施した。この調査により、大学・学部の選択理由や女子特有の進路選好について分析が可能となった。 なお、2021年度は中国もしくはシンガポールにおける、大学教育のアウトカムの把握に関する政策・制度・調査についての現地調査を計画していたが、コロナ禍による出入国管理の制約により、実施することができなかった。しかし、2020年度に実施したイギリス現地調査については、政府機関職員・大学職員・大学教員・学生という多様な対象に対して実施したインタビュー調査の結果を報告書として集約した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトの主眼である、学問分野別の習得度項目を盛り込み、大学在学最終年度から卒業後にかけて追跡する調査に関しては、多変量の分析を可能にするだけのサンプルサイズを確保したオリジナルなデータが獲得できている。 また、上記調査を補完するための追加的な調査についても新たに実施した。 追跡調査の分析結果は最終年度までの追跡が完了してから書籍等の形で包括的に公表する予定であるが、途中段階においても随時、学会発表やシンポジウムなどの形で研究の進捗を公表している。 また、本プロジェクトにおいては、大学教育のアウトカムの把握方法に関して、2019年度にアメリカ現地調査、2020年度にイギリス現地調査を実施したが、その後は新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大したことにより、実施可能性を検討しながらも現地調査の遂行にはいたっていないことが当初計画に関して未達成の事柄である。 これらの状況から、「(2)おおむね順調に進展している。」との区分を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2022年度は、追跡調査の最終年度にあたるため、引き続きそれを完遂することを予定している。 さらに、質問紙調査のみでは情報が限られることを補うため、追跡調査の回答者の中からインタビュー調査への承諾を得られた対象に対して、可能な限り多数のサンプルを確保した上でインタビュー調査を実施することを予定している。 加えて、特定大学に関して、追跡調査よりも幅広い年齢層を対象とした卒業生調査を実施し、大学在学時の学習や生活と、卒業後の職業キャリアに関して長いスパンで把握することができる調査を計画している。 海外現地調査については、引き続き新型コロナ感染症の流行状況と照らし合わせつつ、アジア諸国における大学教育のアウトカムの把握方法の実情を把握するための現地調査の実施を模索する。
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