研究課題/領域番号 |
18H03660
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
稲垣 成哲 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70176387)
|
研究分担者 |
溝口 博 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 教授 (00262113)
生田目 美紀 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (20320624)
増本 康平 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20402985)
楠 房子 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (40192025)
小川 義和 独立行政法人国立科学博物館, 連携推進学習センター, センター長 (60233433)
小林 真 筑波技術大学, 保健科学部, 准教授 (60291853)
加藤 伸子 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (90279555)
杉本 雅則 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (90280560)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 科学教育 / 科学系博物館 / ユニバーサルデザイン / 展示手法 / 学習支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,科学系博物館における感覚障害者(視覚・聴覚)向けの学習保障ガイドラインの体系化とその展示技法の開発,さらに具体例としての学習保障実践モデルの提案を行うことである。本研究の第2年次である2019年度の研究実績の概要は以下の通りであった。 (1)展示学習理論及び展示手法の精緻化:国際会議(CSEDU2019, EDMEDIA2019)での議論を整理し,検討するとともに,前年度における国立科学博物館等での予備的評価(ワークショップ)の結果を分析し,展示学習理論及び展示手法を整理し,ユニバーサルな展示手法の候補として漫画表現法を検討した。 (2)科学博物館等での実証実験の実施:前項で着目した漫画表現法の有効性について,豊橋市自然史博物館において,一般来館者を対象とした本格的な実証実験を実施した(2019年9月)。そこでは約150名の参加者を対象に質問紙調査,面接調査等を実施することができ,展示解説の手法としての漫画表現法の優位性を認めることができた。 (3)各大学での実証実験の実施:前項と平行して,主に神戸大学において,視線計測等の測定技術を用いた展示手法についての実験的な研究を展開した。また,筑波技術大学においても,HMD等の新しい機器やソフトウェアを利用した展示支援手法を開発し,実験的な研究を蓄積した。東京理科大では多摩美術大学と共同で,聴覚障害者用に床面投影型コンテンツの制御や非接触視線推定などの技術を開発した。視覚障害についても,筑波技術大学において,介助者との関係を再検討する試みが行われた。 (4)研究成果発表:各研究の研究成果は,国内外の学会,例えば,ICST, ICOM-Kyoto等で発表された。とくに,研究成果の中間まとめとして,日本科学教育学会年会において課題研究を開催し,代表者・分担者による6件の発表を組織し,広く学会からの外部中間評価を受けた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の進捗状況については,おおむね順調に進展していると判断している。 理由は主に次の3点である。 (1)展示支援手法の基礎技術の開発が進展した。これは例えば,聴覚障害者向けのHMD等による展示支援の技法,床面投影,鑑賞者位置測定などの技術開発ができたこと。 (2)技術開発に並行して,障害者の方々を対象とした各種ワークショプを実施し,スペシャルニーズがどこにあるかを検討し,質的に分析できていること。 (3)成果発表が,国内外において活発に展開されたことに。とくに海外のCHI PLAYやICSTでの発表がなされたこと。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究課題の推進方策については,以下の点を挙げることができる。 (1)開発してきた展示支援手法を統合し,より具体的な支援場面での実証実験を行う。 (2)引き続き,評価実験を継続するが,これについては,コロナ禍のため変更を余儀無くされる場合も想定して,評価の対象を臨機応変に考える。 (3)研究成果について,本研究課題も後半になるので,ジャーナル論文化,国際会議への投稿など発表についても,さらに本格的に取り組む。
|