研究課題
前年度に鼻孔に香気成分を提示するチューブを中鼻甲介まで挿入し、呼気、もしくは吸気と連動させて香気成分を提示し、嗅粘膜に香気成分を到達させることで、口の奥からこみ上げるときに感じる嗅覚(レトロナーザル経路嗅覚)と鼻の穴から嗅いだ時に感じる嗅覚(オルソナーザル経路の嗅覚)による嗅知覚の両者と同等の経験を、共通の鼻孔からの刺激で提示できる装置を開発した。本年度はチューブ先端を鼻孔から約1㎝の位置に設置し、呼気・吸気と同時に匂い刺激呈示することで、中鼻甲介に設置した場合と同等以上の確率で嗅知覚を生じさせることができることが分かった。これは、中鼻甲介までのチューブを挿入すると異物による鼻汁分泌される反射が生じる実験参加者も多い可能性があるが、挿入位置が鼻孔から浅い場合はそのような可能性が劇的に減少することが原因であると考えられる。上記の提示装置を用いて嗅覚による味覚増強の検討を行った結果、バニラの匂いを味覚刺激呈示前に吸気とともに提示する条件、味覚刺激提示後に呼気とともに提示する条件において、嗅覚による味覚増強が観察された一方、味覚刺激と嗅覚刺激の順番が逆である場合は、味覚増強は生じなかった。このことから、呼気と連動した嗅覚刺激は鼻孔から提示した場合でも後鼻腔経路嗅覚と同様の傾向を示すことが明らかになった。さらに呼吸をモニタリングするために、超小型のMEMS気圧センサを備えた提示装置の開発を行った。
3: やや遅れている
2020年は新型コロナの流行により、実験やデバイス開発を行うことが制限されたため、研究に遅れが生じたものの、可能な範囲で研究を推進した。
超小型のMEMS気圧センサを備えた提示装置を用いて、固形食品における味嗅覚相互作用についての検討を行う。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (17件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 4件、 招待講演 15件) 図書 (2件) 産業財産権 (1件)
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