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研究計画の最終年度にあたるため，成果の発表および全体の総合議論に主に取り組んだ．ただし，前半は「付着性効果の高い微小粒子層の振動応答に関する研究」，「土壌団粒構造を模擬した階層粉体中における保水効果についての研究」などの実験研究にも精力的に取り組んだ．付着性微小粒子層の振動応答については，「水平亀裂の生成と進行」，「振動層上部での凝集粒子の生成」のそれぞれの過程について系統的実験を行い，その詳細を2編の論文で報告した．特に，粉体工学的プロセスの中で流動輸送が難しい微粉の振動のみによる（気流を用いない）効率的流動化を目指して，振動層の容器形状を様々に変化させる実験を行った．その結果，半球状底面を持つ容器を用いた場合に流動化が顕著に促進されることが明らかになった．一方，振動条件によっては容器内に巨大な一つの凝集粒子が生成される場合があることも確認された．微粉振動層内で粉体が階層構造を持つためには適度に粒子の崩壊も起こる必要があり，振動により階層粉体を作成することが必ずしも容易でないことも明らかになった．また，土壌団粒の保水効果については，土壌団粒の各団粒粒子内部のミクロポアが飽和してから団粒粒子間のマクロポアに水が分布し始めることをいくつかの計測から明らかにした．その結果，土壌団粒構造を用いることで，良好な排水性能と高い保水性能を両立するために実現すべき団粒の階層構造の理解を進めることに成功した．以上の成果に加え，昨年度までに精力的に取り組んだ「階層構造を持つ高空隙率粒子群への固体弾衝突による衝突抵抗力の研究」について，粒子破壊によるエネルギー散逸を考慮することによって抵抗力のモデル化に成功し，その成果を論文により発表した．これにより，小惑星等の階層構造を持つことが予想される天体表面への固体オブジェクトの衝突による抵抗力則を適切に推定することが可能になったと言える．
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