研究課題
3年計画の最終年度として、昨年度までに導入した計測器の更なる整備、解析プログラムの開発を行った。そして、電子バーンスタイン波(EBW)で立ち上げたターゲットプラズマのパラメータを変えて電子ビーム入射(EBI)実験を繰り返し、EBIにより、プラズマ電流や電子密度がどのように変化するか詳細に調べた。そして、以下のような結果を得た。(1) 大半径 25.5 cmで、下側真空容器壁より 5 cm中に入った位置に設置した電子銃より、100 ~ 600 eV のエネルギーの電子ビームを約 800 A入射したところ、2.45 GHzマイクロ波の遮断密度の約30 倍(~2.3 x 1018 m-3)に達するオーバーデンスプラズマを維持することができた。(2) 電子ビーム入射初期で電子密度があまり上がらない段階(遮断密度の約20倍程度)では、プラズマ中心の電子サイクロトロン(EC)共鳴層付近で軟X線放射強度の急激な増加が見られ、顕著な電子加熱が起こっていると見られる。(3) 電子ビーム電流重畳によるプラズマ電流の顕著な増加は見られなかった。これは、プラズマ電流のフープ力を抑える垂直磁場のフィードバック制御が行われていなかったことが原因と考えられる。また、電子密度が増加し過ぎるとプラズマ電流が減少する傾向があり、電子密度の上昇に伴い、EBW へのモード変換効率が悪化し、ECCD電流が減少したためと考えられる。さらに電子密度が増加し、高域混成共鳴層が第2高調波EC共鳴層よりも大半径外側に出てしまうと、第2高調波EC共鳴加熱が周辺加熱となってしまうことも原因となると思われる。(4) 現在の実験パラメータ領域においては、電子密度を~1.7 x 1018 m-3 程度に抑えることができれば、EBWとEBIの加熱・電流駆動の共存が可能と見られる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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