研究課題
下記実験を企画していたが一昨年度ドイツの加速器装置の故障で実験できなかった。イオン源で1 次ビーム206Pb イオンを生成し線型加速器UNILAC にて核子当たり8 MeV まで前段加速ののち重イオンシンクロトロンSIS にて約500MeV/u まで加速後,ビームを取り出し核破砕片分離装置FRS へと導いた。FRS では入射核破砕反応で生成する81価の205 Tlイオンを分離し本計画のメインデバイス・重イオン蓄積リングExperimental Storage Ring[ESR] へ入射・周回させる。ここで周回粒子に対してショットキー質量分光もしくはアイソクロナス(等時性) 質量分光を行う。前者ではESR の周回軌道中の空洞にショットキー検出器を設置しておく。荷電粒子が電極を通過する際に誘導電荷によるショットキーノイズが発生するのでこれを増幅する。粒子のm=q に応じた周期でこのショットキーノイズを発生させる。一方,後者は(粒子のエネルギー損失が無視できる程の) 極薄の炭素薄膜を設置し粒子が通過した際の2 次電子をマイクロチャネルプレートで増幅する。これらのパルスに対しスペクトラム・アナライザで周波数解析(FFT 法を用いる) によって粒子同定が可能となった。親核205Tl81+ を周回させるとベータ崩壊の娘核は3 時間経過後には約10個が得られ,6 日程度の実験で5*10個となり崩壊直線が求まる。そこで国内実験(放射線医学総合研究所)で分解能の検証の後,ドイツへ渡航して本測定205Tl 81+ →205Pb81+ + e-を全員参加して実施する予定であった。
3: やや遅れている
一昨年度ドイツの加速器装置の故障で実験不可だったため。
実験を敢行させ、得られる核遷移行列要素を用いてニュートリノ捕獲断面積の精密評価をしたい。これにより,これまでできていなかった低エネルギーにおける太陽ニュートリノフラックス((E)>52keV) を精密に決定する事が可能で、このことはニュートリノ振動で解決したと考えられている太陽ニュートリノ問題が,実は解決していない「標準太陽モデルの検証」に繋がる。
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すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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