研究課題
本研究は中性子を観測手段として、これまで観測が進展してこなかった太陽フレアに伴う中性子観測を通じ、太陽フレアにおけるイオン加速メカニズムに迫るものであり、その鍵となるのが宇宙空間からの太陽中性子観測専用の超小型衛星による観測である。中性子とガンマ線を同時に観測する独自のミッションセンサを開発し、大学内で開発する超小型人工衛星に搭載して一線級の科学観測を継続的に行うことを視野に置いている。これまでに中性子・ガンマ線センサについては集積回路を用いたセンサ信号読み出し技術・センサ組み立て技術、およびセンサ性能について陽子やガンマ線照射を行い、解析方法まで含めて検証を行ってきた。その結果、フライトモデルの設計もほぼ終了し、低消費電力・省スペース・軽量で実現できることが示されてきた。キーパーツとなるセンサの一部は、2022年度に打ち上げられるJAXA革新実証衛星3号機にも搭載される予定でである。一方、人工衛星バスについてはこれまで名古屋大学工学部で開発されたものを用い、それに新たな機能を追加する形で開発を進めており、その差分機能の要素試作モデル開発を行い、検証してきた。ミッションを実現する上で必要な要素が必要な電力で実現できることは確認済みであり、今後エンジニアリング・フライトモデル開発を進めていく。また、オンラインを中心に学部学生・大学院生や社会人を対象に超小型衛星に関する講習会(基礎編と上級編)を定期的に開催し、超小型衛星に関する知識や試験手法について普及に努めるとともに、講習会の参加者をチームの研究協力者として取り込み、開発チームを拡大しつつある。
2: おおむね順調に進展している
中性子・ガンマ線センサ、超小型人工衛星(3Uキューブサット)とも要素試作モデル製作・試験をほぼ終えており、現在エンジニアリングモデルとフライトモデルの設計を行っているところであり、おおむね順調であるといえる。ただし、開発体制の見直しに加えて、コロナウイルス感染の影響、さらにマイコン・FPGAなどの使用予定半導体電子部品の入手困難のため、電子回路基板開発が遅れている。
今後本格的に人工衛星バスや中性子・ガンマ線センサのフライトモデルを製作・製造していく上でさらなるマンパワーの増強が不可欠である。今後も定期的に行っている超小型衛星講習会やSNS・講演による広報活動により参加を呼びかける努力を続けていく。また、人工衛星搭載に向けた打ち上げ機会を確保するため、JAXAや民間・海外を含めて様々な手段を探っていく。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 6件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (27件) (うち国際学会 5件) 備考 (5件)
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