研究課題/領域番号 |
18H03705
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
常定 芳基 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (50401526)
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研究分担者 |
竹田 成宏 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (40360581)
有働 慈治 神奈川大学, 工学部, 准教授 (50506714)
冨田 孝幸 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (70632975)
多米田 裕一郎 大阪電気通信大学, 工学部, 講師 (90467019)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 超高エネルギー宇宙線 |
研究実績の概要 |
超高エネルギー宇宙線の起源解明のため、エネルギー10の19乗以上の宇宙線を米国ユタ州に建設した検出器「テレスコープアレイ(TA)」を長期間運用し、宇宙線のエネルギースペクトルや原子核組成、到来方向の異方性を測定することを目的とする。2種類の検出器、「地表検出器」と「大気蛍光望遠鏡」によるハイブリッド観測により、精度よく宇宙線のエネルギー、原子核種と到来方向を決定することが可能である。本研究では特にテレスコープアレイの拡張実験である "TAx4" を安定的に運用することが重要であった。2020年度はコロナ禍のために現地での検出器メンテナンスや対面実施での解析ミーティングなどを行うことができなかったが、遠隔操作による検出器運用によって可能な限りのデータ取得を行い、データ解析につなげた。今年度の成果としては 1) 遠隔操作による検出器運用方針の策定とその経験の蓄積、2) オンラインでの解析ミーティングを活用し、TAx4 によって取得したデータ解析方法の指針を得たことが挙げられる。1) は観測効率の低下を招いたコロナ禍は痛恨事であったものの、運用コストを下げつつ観測を継続するためにはどうすればよいかを再検討する機会にもなったととらえられる。そして得られた宇宙線のエネルギー分布、および到来方向を調べ、TAの視野において北方向から到来する宇宙線と、南方向から到来する宇宙線の到来頻度を調べ、エネルギースペクトルの形状が異なる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため米国ユタ州の現地での検出器保守が行えず、2種類の検出器のうち「地表検出器」の稼働率が低下し(例年は95%以上)、また「大気蛍光望遠鏡」は稼働させることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
超高エネルギー宇宙線の到来頻度は低く、そのため面積700平方キロメートルを擁するTA、およびその拡張である TAx4 を建設し、長期間の観測時間を確保する必要があったが、コロナ禍の状況で検出器遠隔操作だけでは限界があった。人員派遣が可能になればデータ取得率を正常に戻し、得られた豊富なデータによる解析をすすめる。
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