研究課題/領域番号 |
18H03706
|
研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
佐甲 博之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (40282298)
|
研究分担者 |
市川 裕大 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (50756244)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | Hダイバリオン / バリオン共鳴 / TPC |
研究実績の概要 |
2018年度は、8月にTPCの1MHzまでの高強度ビームによる試験をHIMACにて行い、1MHzまでのレートにおいて、飛跡再構成を行うことができ、位置分解能0.4-0.7mm(rms)、検出効率90%以上を達成した。更に、2019年3月には、KEKにおいて超伝導ヘルムホルツ磁石中にTPCを設置し、宇宙線測定試験を行い、磁場中におけるTPCの動作確認を行った。TPCのGEMの放電率が高く、試験中にGEMの電極が放電によって短絡するという問題が起こった。このため、TPCガスベッセル内部のアウトガスの検査、GEMの再洗浄等様々な調査を行ったが、ゲーティンググリッドワイヤの張力によって、GEMが歪み、GEM間の距離が非一様になったため、放電率が高くなったと考えた。そこで、張力を少し緩めるためのゲーティンググリッド面の修正を行ったところ、GEMの高さの歪みが抑制された。その結果、GEMの放電率は各段に下がった。更に、放電による短絡の確率を低減するため、電極の細分化を行ったGEMを製作した。 以前のフレキシブル基板によるフィールドケージでは、フィールドケージのたわみやストリップのずれによって飛跡の歪みが見られていたが、リジッド基板によるフィールドケージを製作した結果、飛跡の歪みを大幅に向上することに成功した。 TPCホドスコープについては、実機サイズのプロトタイプの開発を行い、MPPCを8個使用して、100psの高分解能を達成することに成功し、開発研究は完了した。 水素標的に関しては、今年度液体水素標的と標的昇降システムの製作を完了した。液体水素標的については、冷却試験に成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、Hダイバリオン探索実験(E42)、バリオン共鳴測定実験(E45)に共通なTPCとホドスコープの開発が進展し、E42実験で最も早くて2020年度初めのビームタイムに間に合う目途が付いた。E45実験用の水素標的の製作も完了した。このようなことから、概ね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
TPCのGEMの安定動作についてはゲーティンググリッドによるGEMの歪みが解消されたことで、大きく向上した。更に向上させるべくGEM間間隔を広げる等の改良を予定である。また、今年度はコリア大ト共同で陽子バックグラウンド除去のための水チェレンコフの開発を進展させる。またTPCホドスコープについては、オハイオ大学と共同で実機の製作を行う。
|