研究課題/領域番号 |
18H03706
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
佐甲 博之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (40282298)
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研究分担者 |
市川 裕大 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (50756244)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Hダイバリオン / J-PARC |
研究実績の概要 |
Hダイバリオン実験については、J-PARCハドロン実験施設のK1.8ビームラインにおいて2021年度初めに実験が行われる可能性が高くなった。従って本年度はHダイバリオン実験の検出器の製作をほぼ完了した。 Hダイバリオン実験の陽子バックグラウンド除去のための水チェレンコフ検出器については試験機をコリア大と共同で製作し、R1年10月に東北大学ELPHにおいてビーム試験を行い、その性能評価を行った。その結果、シミュレーション計算と同様の光電子数、検出効率を達成した。更に、コリア大において実機の製作を開始するとともに、光電子増倍管を購入した。 Hダイバリオン実験とN*実験で共通に使用するTPCホドスコープについては、試験機の開発を完了し、高時間分解能を達成し、さらに実機用のアンプを開発した。実機用のシンチレーターの加工も完了した。 TPCについてはGEMのたわみを抑制することによって、放電率を抑制し、安定性を向上することができた。この成果を踏まえて令和2年度に予定していたTPCの高電圧の制御の効率化と電極パッド上の信号ノイズのため、低ノイズの高電圧電源を予算の前倒し申請を行って、購入した。 水チェレンコフ検出器試験機とTPC実機は令和2年2月に予定されていたJ-PARCハドロン実験施設におけるE40実験期間中のビーム試験のため、同実験エリアに設置した。しかし、J-PARCハドロンビームの運転開始が5月以降に延期されたため、その試験は年度内に行うことができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
J-PARCハドロン実験施設におけるビーム利用運転は当初令和2年2月から3月にかけて行われる予定であったが、原子力規制庁からの許認可手続きの遅れのため、運転開始は5月以降に延期された。そのため、年度内にTPC実機と水チェレンコフ検出器試験機の試験が行えなかった。さらに、Hダイバリオン探索実験は令和3年4月に行われる予定であったが、この運転スケジュールの遅れの影響でさらに遅れる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度初めには、令和元年度に行うことができなかったTPCと水チェレンコフ検出器の試験において両者の最終性能評価を速やかに行う。ビーム試験終了後、TPCを設置する超伝導Helmholtz磁石をKEKからJ-PARCの実験エリアに移設し、K+タグのためのKurama電磁石との同時運転試験を行い、暗転性、安全性等を確認する。その後令和2年度中に行われる予定のE03実験完了後、できるだけ速やかに、Hダイバリオン探索実験への検出器の設定移行に全力をつくし、令和3年度初めに予定されている本実験のための準備を完了させる。
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