研究課題/領域番号 |
18H03717
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
児玉 忠恭 東北大学, 理学研究科, 教授 (80343101)
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研究分担者 |
矢島 秀伸 筑波大学, 計算科学研究センター, 准教授 (10756357)
小山 佑世 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (40724662)
小野寺 仁人 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (40778396)
田中 壱 国立天文台, ハワイ観測所, RCUH職員 (70374890)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 近赤外線分光装置 / 広視野観測 / 銀河形成・進化 / 星形成史 |
研究実績の概要 |
本提案は、これまでにない高い感度を持つ中分散グリズムを開発し、それを用いた分光観測を行うことによって、遠方銀河の星形成史を明らかにしようというものである。この新しい高感度グリズムは一昨年度までに完成しすばる望遠鏡のMOIRCS装置にインストールされており、昨年度はテスト観測でのチェックのあと、すばる共同利用観測でこのグリズムを用いた分光観測データを取得している。このデータ解析を進めるとともに、密接に関連する遠方銀河の狭帯域撮像観測、中間帯域観測、可視と近赤外の分光観測を主にすばる望遠鏡とKeck望遠鏡を使って進めた。複数の輝線を用いた星形成銀河の輝線診断や、バルマーブレークを捉えた古い星種族の銀河、その中間の星形成をちょうど止めつつある銀河などの解析を行い、銀河がいつどのようにして星形成活動を活発化させ、その後止めたのか、またそれに及ぼす環境の効果について、研究を行なった。これらは上述の本グリズムで取得した分光スペクトルを元に現在解析を進めている星形成史の研究と相補的である。 なお、本グリズムが搭載されているMOIRCS装置は現在国立天文台のすばる観測所の方針により休眠中で、時限的(2023年1月までの2年間)にSWIMSという新しくかつMOIRCSと類似した装置が現在すばる望遠鏡に取り付けられている。MOIRCSはその後交代で再びすばる望遠鏡に取り付けられることになっており、その間本課題のグリズムを用いた観測ができないため、類似装置SWIMSをメインに使った、密接に関連した観測プログラムを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在は本課題で開発したグリズムが搭載されているMOIRCS装置がすばる望遠鏡(ハワイ観測所)の判断により休眠中である(代わりに新しい類似装置SWIMSを時限的に運用するため)。従って、それを用いた新たな分光データは2023年2月まで取得できない状態にあるが、昨年度の共同利用観測で取得した遠方の星形成を止めつつある銀河の分光データを既に取得できているため、その解析を行っている。それに加えて、現在類似装置SWIMSを使った、さまざまな観測プログラムを精力的に進めており、これらは本課題の科学テーマと密接に関係しているため、相補的に研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、本課題で制作したグリズムで取得した遠方銀河の分光観測データ(近赤外線スペクトル)を解析し、その星形成史を明らかにするとともに、上述の主にSWIMSを使った関連プログラムも推進し、両者を相補的に解析することで相乗効果を生み出す。また2023年2月にはMOIRCSが再びすばる望遠鏡に取り付けられるので、それに向けて共同利用観測プログラムを準備し、2023年3月に提案を行う。今年度が最終年度であるため、得られた科学成果を国内外の研究会で報告し広く宣伝する予定である。引き続き雇用する研究員と共同で研究を進める。
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