研究課題/領域番号 |
18H03720
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川端 弘治 広島大学, 宇宙科学センター, 教授 (60372702)
|
研究分担者 |
渡邉 誠 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (10450181)
西山 正吾 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (20377948)
松村 雅文 香川大学, 教育学部, 教授 (50239084)
當真 賢二 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (70729011)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 光学赤外線天文学 / 偏光 / 銀河磁場 / 星間物質 |
研究実績の概要 |
前年度までに予備的な光学設計を進めた可視2チャンネル広視野偏光撮像器について、広島大学の口径1.5mかなた望遠鏡に最適化したレンズ系の設計とその評価を行い、実視野直径70.7分角(内接する正方形の一辺が50分角φ)を保持し、偏光ビームスプリッタの有効短辺長80mmで主鏡面から像面までの長さを1700mm以下に抑えたコンパクトな光学系の設計に成功した。半波長板への最大入射角は10°以下、ダイクロイックミラー及び偏光ビームスプリッタへの最大入射角も12°以下と各光学素子の仕様を満たしつつ、g'バンド、i'バンドの両チャンネルで80% encircled energy直径1.3秒角以下を視野全面で実現する。 偏光ビームスプリッタについては当初、今年度中に製作する予定であったが、上記の光学系の設計過程で仕様の変更が必要であることが判ったため、次年度に製作することとした(繰り越し申請済み)。 また、かなた望遠鏡と既存の観測装置(可視赤外線同時撮像装置 HONIR)を用いて偏光標準星として提案されている天体の観測を断続的に実施し、安定性を評価したほか、本プログラムでも時間変動サーベイ天体の候補として挙げているガンマ線バースト及び近傍超新星の偏光観測を実施した。これらの試験観測のうち、ガンマ線バーストの観測結果の速報をGRB Coordinate Networkに投稿した。 さらに、これらの開発や観測を担うポスドク研究員を1月より雇用し、上記光学系の設計・改良に取り掛かってもらった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光学設計では途中で光学素子(偏光ビームスプリッタ)の実現性と照らし合わせる段階で見直しが必要となり、進捗がやや遅れたが年度内には回復できた。偏光ビームスプリッタは次年度に製作する。既存の観測装置を用いた試験的観測や、ポスドク研究員の雇用はほぼ予定通り進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、広視野偏光撮像光学系の実現に向けて光学素子や検出器の開発・整備を進めていく。利用する望遠鏡として、当初は、宇宙研1.3m望遠鏡と広島大学1.5mかなた望遠鏡の二つを候補に挙げていたが、予算的に前者の目途が立たないことから、後者に絞った形で、かなた望遠鏡に最適化したケースで開発を進める。2020年3月に広島国際会議場で開催を予定している国際会議「偏光天文学2020」にて進捗を発表し、国内外の関連研究者と議論を行う。 開発と並行して、将来の偏光サーベイ実施を見据えた予備的な研究を、既存の観測装置HONIRを用いて進める。
|