研究課題
本研究は、磁化天体に普遍的な高エネルギー粒子加速機構を解明することを最終目的として、宇宙空間で生じる電磁波と粒子との間のエネルギー交換過程について究明した。目的を達成するために本研究では、【1】あらせ衛星を中心とした地球磁気圏・放射線帯領域での衛星観測データを用いた解析研究、【2】大規模計算機実験による惑星電磁圏での波動・粒子間の共鳴過程の究明、【3】WPIA機上ソフトウェアの最適化とWPIA手法の確立、をそれぞれ実施した。2021年度は課題【1】に関して、MMS衛星による観測結果にWPIAを適用して、高エネルギープロトンと電磁イオンサイクロトロン波動とのエネルギー交換量の評価が可能であることを示した。また、低高度衛星による降下電子の観測結果にみられるエネルギー分散が、磁気圏におけるコーラス放射によるピッチ角散乱過程を考慮することにより矛盾なく説明できることを示した。課題【2】に関して、Van Allen Probes衛星により観測されたコーラス放射微細構造のデータベースと、計算機シミュレーションにより再現されたコーラス放射の微細構造とを比較して、シミュレーション結果が観測結果をよく再現していることを明らかとした。課題【3】に関して、本研究で構築した位相の連続性を保証する波形較正手法ならびに電場3成分目の推定方法についてそれぞれアルゴリズムに取り入れ、あらせ衛星によるWPIAに用いる解析手法として確立した。以上の成果は6編の学術論文ならびに招待講演7件を含む30件の国内外での学会・研究会での発表として公表した。
2: おおむね順調に進展している
本研究で中心課題としている衛星データ解析研究、シミュレーション研究、WPIA手法の検討のそれぞれについて当初の計画通りに進められており、成果も既に上がっている。研究組織内での議論は円滑に進められており、当初の研究計画に対して順調に進展していると判断される。
研究は順調に進展しており、次年度も当初の研究計画に従って研究を遂行する方針である。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 オープンアクセス 1件、 査読あり 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 8件、 招待講演 1件)
Journal of Geophysical Research: Space Physics
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