研究課題/領域番号 |
18H03728
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
古川 善博 東北大学, 理学研究科, 准教授 (00544107)
|
研究分担者 |
大河内 直彦 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 生物地球化学研究分野, 分野長 (00281832)
力石 嘉人 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50455490)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | リボース / 隕石 / 糖 / 生命の起源 |
研究実績の概要 |
炭素質隕石からリボースやアラビノースなどの糖を世界で初めて検出して、それらの炭素同位体比測定により、地球外由来であることを示した。このことは、生命の材料である糖が地球外から地球にもたらされていたことを直接示す、初めての証拠となった。この研究は論文として米国科学アカデミー紀要に発表した。研究成果は科学的にも社会的にも高い関心を集め、世界中の100以上の報道機関にニュースがとり上げられた。 糖にはD体とL体の光学異性体があるが、隕石のような複雑な物質の中からそれらを分析するのは誰も成功していない。それを可能にするために、本研究では糖の光学異性体分析手法の開発を行っていた。この技術開発はこれまでの研究で概ね成功しつつある。今後はさらに調整をして実際の隕石の測定を行う。隕石はNASAのJohnson Space Centerから提供を受けており、用意は既にできている。 また、本研究では隕石中で多種の有機物が形成される反応について室内模擬実験も行っている。それによって、隕石母天体で糖やアミノ酸などの生体分子が生成する主要な過程を制約する結果が得られつつある。隕石中で多種の有機物が形成される反応については様々な反応が提案されているが、その反応が主要なものであったかを示すデータは得られていなかった。本研究では炭素同位体比を基にそのような反応に制約を与え、隕石母天体での生命分子の主生成反応を明らかにすることに貢献できると期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
隕石から地球外の糖を検出して公表するという第一の目的は達成した。隕石中の糖の光学異性体比分析手法の開発は思った以上に時間がかかったが、概ね達成されつつある。この課題がクリアできれば、他の隕石を分析することに技術的な課題はなくなる。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は年度始めに新型コロナウイルスの対応のために、実験できない期間があった。この遅れを取り戻せるように努力したい。
|