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2021 年度 実績報告書

鉱物多結晶体の超塑性3 粒径変化とのカップリング

研究課題

研究課題/領域番号 18H03734
研究機関東京大学

研究代表者

平賀 岳彦  東京大学, 地震研究所, 教授 (10444077)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード輝石 / 拡散クリープ
研究実績の概要

造岩鉱物における超塑性変形(拡散クリープ)をオリビン以外で起きるかを検証するために、上部マントルおよび下部地殻の主要鉱物である単斜輝石多結晶体の高温変形特性を調べた。高温・大気圧下での一軸圧縮試験より単斜輝石(CaMgSi2O6)の高温変形特性を明らかにすることに成功した(Ghosh et al., 2021 JGR)。具体的には、通電焼結法を用いて僅かにフォルステライト(Mg2SiO4)もしくはアノーサイト(CaAl2Si2O8)を含み、粒径が0.43 μm から4.07 μm まで大きく異なる高緻密多結晶体を合成した。本試料を1050~1170℃下での変形実験に用いた。同じ粒径および温度において、アノーサイトを含む試料がフォルステライトを含む試料の3倍程度柔らかい。応力-歪速度の線形的な関係から拡散クリープであること、また、粒径-粘性率の関係から体(結晶内)拡散がクリープを律速していることが分かり、試料間の固さの違いは、Alの単斜輝石格子拡散への促進効果と考えられる。これらの実験結果に基づいて、単斜輝石の拡散クリープ則を提案した。本クリープ則を基準にこれまでに複数の研究グループから報告された実験データを再解析した。従来、粒界拡散クリープと認定され各報告間で矛盾するデータとされてきたものが、体拡散クリープで統一的に説明できることを示した。得られた拡散クリープの著しく大きな活性化エネルギー720 kJ/molは単斜輝石を主要とする岩石の高温下での著しい弱化を予想する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

造岩鉱物における超塑性変形(拡散クリープ)をオリビン以外で示すことに成功し、クリープメカニズムの普遍性を支持する結果である。

今後の研究の推進方策

主要造岩鉱物に超塑性変形(拡散クリープ)の普遍性を検証するために斜長石の高温変形特性を実験的に明らかにする。フォルスライト+ぺリクレースにおける超塑性変形特性および粒成長の結果をまとめ、国際誌に公表する。オリビンの超塑性変形時における結晶軸選択配向のパターン変化について実験的に明らかにする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Diffusion creep of diopside2021

    • 著者名/発表者名
      Ghosh S, Koizumi S, Hiraga T
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research: Solid Earth

      巻: 126 ページ: 1-18

    • DOI

      10.1029/2020JB019855

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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