研究課題/領域番号 |
18H03756
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
冨山 明男 神戸大学, 工学研究科, 教授 (30211402)
|
研究分担者 |
林 公祐 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (60455152)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 気泡塔 / 物理吸収 / 化学吸収 / 抗力係数 / 揚力係数 |
研究実績の概要 |
物理吸収・化学吸収を伴う高気相流量・高粒子濃度スラリー気泡塔の数値予測技術開発を目標として,目的達成に必要な各種要素研究を推進し,主として以下の成果を得た.気泡塔内流動を精度良く数値予測するためには,気泡形状依存性を考慮した気泡抗力モデルが必要である.そこで,扁平及び扁長気泡に適用できる抗力モデルを導出するとともに,モデルを統合数値計算手法に組み込み,実験との比較によりその妥当性を検証した.また,抗力係数との相関に基づくスケーリング法により低粘度系における実用的な気泡揚力モデルを開発し,気泡塔内気相体積率分布の予測精度を向上した.本課題研究で開発してきた気泡溶解モデルを組み込んだ計算手法により,種々の液相純度における気泡流シミュレーションを行い,溶解モデルの妥当性を実証するとともに,開発した計算手法が高い信頼性を有することを示した.気泡の化学吸収におけるエンハンスメントファクター(物理吸収の速度定数に対する化学吸収の速度定数)については利用できる既存モデルがないため,単一気泡実験を種々の気泡径と水素イオン濃度で行い,エンハンスメントファクターデータベースを構築するとともに,そのデータベースに基づき気泡塔内気泡流数値シミュレーションに適用できるエンハンスメントファクターモデルを構築した.また,気泡塔内初期液位の影響を詳細に調べることにより,スケールアップを想定した気泡塔内平均気相体積率整理法を構築した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記載の通り,研究計画に沿って要素研究を推進し,予定していた成果を順調に取得できている.扁平及び扁長気泡に適用できる抗力モデル,実用的低粘度系気泡揚力モデル,気泡溶解モデルを組み込んだ計算手法による気泡流シミュレーションに関する成果は国際学術論文として発表し,広く公開した.化学吸収におけるエンハンスメントファクターデータベース及び評価モデルに関する成果は取りまとめと国際学術雑誌への投稿を完了しており,査読を待っているところである.また,スケールアップを想定した気泡塔内平均気相体積率整理法についても投稿準備を終えている.これらの成果をもとにして令和3年度の研究に円滑に進めることができ,当初目標を達成できる見込みである.このことから「おおむね順調に進展している」と評価した.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに構築した物理・化学吸収モデルを気泡流数値計算手法に組み込み,高気相体積率・高粒子濃度スラリー気泡塔の数値予測技術を完成させる.また,物理・化学吸収を伴う気泡流実験を実施し,計算手法検証用データを取得する.実験データと計算結果の比較検討により,計算モデルの妥当性検証と必要に応じた改良を行う.以上の結果をとりまとめ,学術論文を執筆・投稿するとともに,環境が整えば国際会議ないしは欧米の気泡塔研究機関において研究成果を公開する.
|