研究課題/領域番号 |
18H03758
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
深潟 康二 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (80361517)
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研究分担者 |
山本 誠 東京理科大学, 工学部機械工学科, 教授 (20230584)
長谷川 洋介 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (30396783)
岩本 薫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50408712)
塚原 隆裕 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 准教授 (60516186)
福島 直哉 東海大学, 工学部, 特任講師 (80585240)
守 裕也 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (80706383)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 流体力学 / 乱流 / ビッグデータ / 機械学習 / 低次元モデル |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き,流れ場への機械学習への応用を試み,主に以下の成果を得た. (1)畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて,空間低解像度の情報から高解像度場を再構築する流れ場の超解像技術を提案した.これを二次元物体周り非定常流れおよび二次元減衰乱流場に適用し,機械学習を用いた超解像では従来手法より高精度に高解像度場が再構築できることを示した. (2)CNNオートエンコーダを改変したネットワークを用いて非定常流れ場の低次元モデル化および非線形モード分解を行う手法を提案した.これを二次元円柱周りの非定常流れに適用し,分解された非線形モードについての考察を行った結果,機械学習を用いて得られた非線形モードには複数の線形モードが秩序を持って内包されていることが分かった. (3)濃度乱流拡散での点源位置推定を目標として,直接数値計算で作成した教師データをCNNに学習させた.小さいシュミット数のためか,前年度の実験実証ほどの予測性能が得られない結果となった.また,多層パーセプトロンによる粘弾性流体構成方程式の代理モデル構築を図り,チャネル乱流では壁近傍での予測精度が高いことを示した. (4)壁乱流の直接数値計算(DNS)データベースにディープラーニングを適用し,計測可能な壁面情報から乱流場の速度・圧力を学習,予測させ,それらの予測における壁面せん断応力,壁面圧力の有効性を調査した.また,壁面近傍の速度情報を学習しそれ基づいた対向制御による壁乱流制御のDNSを行い,入力データに瞬時のスパン方向の壁面せん断応力を用いることで摩擦抵抗低減が得られることがわかった. また,浮力が作用するチャネル乱流を対象として壁面振動制御の有効性を調査し,不安定成層状態において壁面振動が流体抵抗低減効果と熱輸送の非相似性を生じることを明らかにするなど,本研究の位置づけと更なる発展に必要な研究を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
非定常流れ場に対する非線形低次元モードの抽出のみならずその物理的解釈にも成功し,計画当初に想定していなかった流体力学の諸問題への機械学習の適用もいくつも遂行でき,さらには国際会議発表や国際誌への論文発表も当初の計画以上にできたため.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,まずこれまでに明らかになってきた機械学習に基づく流れ場の特徴抽出手法の問題点,即ち高自由度場への適用を可能とすべく,ネットワーク構造の改良を行い,その上で,2019年度に引き続き実験データや乱流場への機械学習の適用を進める. また,類似の研究が世界的なブームになっているため,本研究でこれまでに得られた数々の研究成果を引き続き複数の論文として国際誌に投稿し,世界中の他の研究チームからのフィードバックを得ることにより,研究内容の更なる充実を図る.
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