半導体バリウムシリサイド(BaSi2)は資源が豊富な元素で構成され、光吸収係数および禁制帯幅の視点で、太陽電池に適した新しい材料である。本研究において、BaSi2ホモ接合太陽電池の動作に成功したことは、既存の結晶Si太陽電池とのタンデム化により、資源が豊富な元素のみで構成されるSiベースの半導体においても、エネルギー変換効率30%超を狙える可能性が拓けるため、意義深いといえる。また、大面積薄膜の堆積に適したスパッタ法を用いて太陽電池動作を実証したことも重要な成果である。学術的には、BaSi2中の空孔型欠陥を水素で不活性化できること、また、その機構を明らかにした点に意義がある。
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