本研究は、LIDAR (ライダー) や医療/生体イメージングへの応用に向けて、半導体チップに集積した大規模光フェーズドアレイを用いた高速かつ実用的なイメージング手法を構築することを目的とした。そのために、ゴーストイメージング手法を光集積フェーズドアレイ素子に導入することで、半導体チップ内での光位相の精密制御が必要なく、素子の作製誤差や環境変化に依存しない計測手法を新しく提案し、研究開発を進めた。 2022年度は、前年度に実証した非冗長フェーズドアレイ素子と従来の等間隔フェーズドアレイ素子の比較検討を行った。具体的には、光位相を疑似ランダム駆動することで得られるスペックル光を用いた単画素イメージングについて、詳細な理論・数値検証より両者の性能を検証した。その結果、非冗長フェーズドアレイ素子を用いることで、光位相シフタ数の二乗のオーダーで空間分解点数が増大し、ビームを掃引する手法に比べてロバストなイメージングが可能になることを明らかにした。また、オンチップ光位相モニタ搭載型シリコンフォトニクスチップについて実験検証を行い、各アンテナから出射される光の相対位相が適切に検出できることを示した。これにより、光集積フェーズドアレイを用いた小型かつ実用的なイメージング素子の実現可能性を実証した。
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