本研究は,電気自動車の爆発的普及拡大のため,有線・ワイヤレス式を問わず「気軽に」「どこでも」「簡単に」バッテリを充電できる社会環境を提供することを目的とし,これまで個別に研究開発されていた有線式とワイヤレス式を統合し,共通構造をもつ次世代超急速充電器を開発する。本研究では小型,高効率を実現可能であり,種々の電圧,電力容量に対応できる柔軟性の高い超急速充電器のあるべき姿を世界に先駆けて開発する。そのため,下記の技術を開発し,これまでの充電時間を1/5以下にすることを目指す。1) 世界標準となり得る直並列マルチセル方式大容量電力変換器トポロジーを創出し,50kWの実機を試作し有用性を評価する。2) 大容量ワイヤレス方式の最も大きな問題である漏えい磁界を回路方式により激減する方法を明らかにし,22kWの実機を試作し,その有効性を実証する。 昨年度は有線方式と無線方式の共通化を目指して下記の開発を行なった。1)有線方式:50kWセル方式電力変換システムの評価を行なった。特に大容量化にあたり,問題となった各セル間で循環するコモンモード電流について詳細な計測を行い,解析結果と比較した。また,Buletoothなどの一般無線通信手段をパワーエレクトロニクスシステム技術開発を拡張し,6セル間の通信を行い,所望の性能を得た。2)無線方式:これまでの知見を元に,22kW級の漏えい磁界フリーWPTシステムの設計,製作評価を行なった。その結果,放射ノイズフィルタが最小化できることがわかった。また,特にダイオードクランプ型リニアアンプを使い出力電圧をフィルタなしに正弦波化することを目指し,基礎的な実験を行い所望の動作を実現した。
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