研究課題/領域番号 |
18H03776
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
石橋 隆幸 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (20272635)
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研究分担者 |
西川 雅美 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (20622393)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ビスマス置換磁性ガーネット / 光MOD / 磁気光学イメージング |
研究実績の概要 |
本研究は、これまで磁気イメージングの分野において未踏の領域である、10センチメートルから1メートルに及ぶ大面積および曲面や複雑な形状における計測を実現するフレキシブル磁気光学イメージング技術の開発を目的としている。本年度は、様々な基材の上に優れた磁気光学効果を有するビスマス置換磁性ガーネット膜を形成するために、低温成膜が可能な光MOD法による薄膜作製装置の立ち上げを行った。そして、光MOD法によるビスマス置換磁性ガーネットの結晶化が可能であるか確認するとともに、低温成膜の可能性について検討を行った。実験では、Gd3Ga5O12単結晶基板上に、原料である有機金属溶液を塗布し、100℃の乾燥と450℃での仮焼成後に、本年度導入した波長248 nm のKrFレーザ(コヒレント社製)にて結晶化を試みた。照射時間を10分に固定して、レーザフルエンス依存性を調べた結果100~110 mJ/cm2の範囲において、ガーネットのエピタキシャル相に起因する444回折ピークを観測した。さらに、レーザフルエンスを100 mJ/cm2に固定して、レーザ照射時間依存性を調べた結果、30分まで444回折ピークは増加した。これらのことから、室温におけるレーザ照射によってもガーネットへの結晶化を起こることがわかり、磁性ガーネット膜のプロセス温度を低減できる可能性が示された。 また、新しい磁気イメージング技術として、磁気光学イメージングによる3次元磁場分布の測定法を考案し、実験を行った。その結果、対称性の良い分布の場合には、3次元分布を求めることができることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、光MOD法を行うための成膜装置の立ち上げを行った。そして、目的の材料であるビスマス置換磁性ガーネット膜のレーザー照射による結晶化を確認し、成膜温度の低温下の可能性を明らかにした。また、磁気光学イメージングに関しても、3次元分布測定技術など新しい計測技術を提案し、可能性を示すことができた。一方、超音波霧化装置による新しい塗布技術については、超音波電源の設計に時間を要し、次年度に繰越になった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、繰越になった超音波霧化装置の導入を行い、ガーネット用有機金属溶液の塗布技術の確立を目指す。光MOD法によるビスマス置換磁性ガーネット膜の成膜技術に関しては、数多くあるパラメータの最適化を図り、低温成膜の実現を目指す。また、磁気イメージングに関しては、広い範囲を定量的に測定できる技術の確立を目指す。特に、磁気光学イメージングで得られるz成分の磁場情報からx,y成分を算出する方法について、開発を行う予定である。
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