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2018 年度 実績報告書

神経伝達物質の相互作用の解明を目指すマルチモーダルイオンイメージセンサの実現

研究課題

研究課題/領域番号 18H03778
研究機関豊橋技術科学大学

研究代表者

澤田 和明  豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40235461)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードマルチモーダルセンサ / バイオセンサ / CMOSイメージセンサ / 集積化センサ / イオンイメージセンサ
研究実績の概要

単一種類のイオン(例えば水素イオン)をイメージングするだけでなく,同一場所のその他の化学量(ガス,神経伝達物質:ATPやLactateなど,他のイオン:Kイオン,Caイオンなど)を同時に可視化できるマルチモーダルイメージセンサを実現し,シナプスや細胞の相互作用解明のために有用なツールであることを検証することを目的として本研究課題を進めている.2018年度は,本研究課題を2つの側面から取り組んだ.1つめは複数の化学情報を同時に取得する原理検証とプロセス開発である.光硬化性樹脂にATPとアセチルコリンの分解酵素であるアピラーゼとアセチルコリンエステラーゼを包含させて,フォトリソグラフィーによりパターニングした.その結果酵素の失活もなく最低検出感度も変化がないことが確認できた.また,KイオンとCaイオンを同時に画像として検出するため,イオノフォアを包含したPVC膜をインクジェット法でイオンイメージセンサ上に形成し,Kイオンの放出とCaイオンの細胞による吸収を同時に可視化する基盤技術の開発に成功した.また溶液内の残留酸素と水素イオン濃度を同時に可視化できるデバイスの作製にも取り組んだ.水素イオンイメージセンサ上に酸化物半導体であるSnO2薄膜をスパッタ法で形成し,ある条件で処理することで,水素イオン濃度と残留酸素濃度を同時に検出することができた.以上の様に複数の化学情報を同時に取得する原理検証とプロセス開発は順調に進んでいる.2つめに,それぞれの情報のクロストークの抑制手法の検討である.対象物から出たイオンやガスが横方向に拡散すると,画像の空間分解能が低下してしまう.そこで,それぞれが横方向に拡散しないようなMEMS構造体をセンサチップ上に形成し横方向拡散を抑える試みを行い,その効果を検証した.その結果30ミクロンピッチの構造体の作製に成功した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

3種類のイオン(Kイオン,Caイオン,水素イオン)を同時に検出できるセンサ作製,ATPとアセチルコリンを同時に検出できるセンサの作製と原理検証ができていることなど予定通りに順調に進んでいる.まだ誰もがこれまで誰もが成功してこなかった水溶液中での溶存酸素とイオンを同時に可視しかすることに成功したことは,世界的にも高い評価を得ることになると考え,当初の目的に向かって順調に進んでいると考える.さらに化学物質は光のように光学レンズで拡散を抑えることができないところ,MEMS構造体によりその拡散を抑えることができる可能性を示したことは高く評価したい.現在のところ30ミクロンピッチの構造体であるが,2ミクロンピッチに向けて,製作方法など来年度検討が必要である.

今後の研究の推進方策

2018年度は研究課題開始の年であるため,原理や製作方法のプルーフオブコンセプトを目標としてきた.その結果,今後解決するべき課題に対して,手法など当初のもくろみが間違いがないことを確認できた.そこで今後イメージセンサの微細化を目指した製作を進める.また作製を行ったチップにより,そのセンサが新たな生命科学現象の解明につなげることができるか,生理学研究者の研究協力者を巻き込みながら,センサ作製に留まらず実用的に使えるものであるか検証を進めながら研究を推進する.

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] High-Density 2-μm-Pitch pH Image Sensor With High-Speed Operation up to 1933 fps2019

    • 著者名/発表者名
      You-Na Lee, Takeshi Araki, Yasuyuki Kimura, Fumihiro Dasai, Tatsuya Iwata, Kazuhiro Takahashi and Kazuaki Sawada
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Biomedical Circuits and Systems

      巻: 13, Issue2 ページ: 352-363

    • DOI

      DOI:10.1109/TBCAS.2019.2895069

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Extracellular Bio-imaging of Acetylcholine-stimulated PC12 Cells Using a Calcium and Potassium Multi-ion Image Sensor2018

    • 著者名/発表者名
      Matsuba.S, Kato.R, Okumura.K, Sawada.K, Hattori.T
    • 雑誌名

      Analytical Sciences

      巻: 34 ページ: 553-558

    • DOI

      doi:10.2116/analsci.17P552

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Ion image sensors and their application for visualization of neural activity2018

    • 著者名/発表者名
      Kazuaki Sawada and Toshiaki Hattori
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 57, No.10 ページ: 1002A2-1-11

    • DOI

      doi:10.7567/JJAP.57.1002A2

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] H2O2Detection by Redox-based Potentiometric Sensors under Biological Environments2018

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Iwata, Sinya Mizutani, Koichi Okumura, Yuki Okumura, Kazuhiro Takahashi, and Kazuaki Sawada
    • 雑誌名

      Sensors and Materials

      巻: 30, No.10 ページ: 2359-2367

    • DOI

      doi:10.18494/SAM.2018.1947

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Smart Bio Image Sensor Devices and its applications2018

    • 著者名/発表者名
      Kazuaki Sawada
    • 学会等名
      The 13th Annual IEEE International Conference on Nano/Micro Engineered and Molecular Systems(NEMS2018)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Two-micrometer-pitch pH image sensor for High-density and High-Frame-Rate mapping2018

    • 著者名/発表者名
      You-Na Lee, Takeshi Araki, Yasuyuki Kimura, Tatsuya Iwata, Kazuhiro Takahashi and Kazuaki Sawada
    • 学会等名
      The 13th Annual IEEE International Conference on Nano/Micro Engineered and Molecular Systems(NEMS2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] An Evaluation Method for Electrochemical Imaging of High-density Ion-image Sensor2018

    • 著者名/発表者名
      You-Na Lee, Takeshi Araki, Yasuyuki Kimura, Tatsuya Iwata, Kazuhiro Takahashi and Kazuaki Sawada
    • 学会等名
      Asia-Pacific Conference of Transducers and Micro-Nano Technology (APCOT 2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] H2O2 and Glutamate Imaging with Improved Sensitivity Based on Charge-Transfer-Type Potentiometric Redox Sensor Arrays2018

    • 著者名/発表者名
      Y.Okumura, T.Iwata, K.Okumura, H.Shiguma, T.Horio, H.Doi, K.Takahashi, K.Sawada
    • 学会等名
      17th International Meeting on Chemical Sensors(IMCS2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] Study on Deposition Condition of PIC Membrane for Enzyme-Type Label-Free ATP Image Sensors and Extracellular Imaging of Hippocampal Slice2018

    • 著者名/発表者名
      Hideo Doi, Tomoko Horio, Tatsuya Iwata, Koichi Okumura, Kazuhiro Takahashi, Toshiaki Hattori and Kazuaki Sawada
    • 学会等名
      Asia-Pacific Conference of Transducers and Micro-Nano Technology (APCOT 2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] 電位検出型H2O2イメージセンサを用いた海馬の細胞外イメージング2018

    • 著者名/発表者名
      土井英生、奥村悠基、堀尾智子、岩田達哉、奥村弘一、高橋一浩、服部敏明、澤田和明
    • 学会等名
      平成30年度電気学会センサ・マイクロマシン部門総合研究会
  • [学会発表] マルチ神経伝達物質イメージセンサのクロストークを抑制するMEMS構造体の作製2018

    • 著者名/発表者名
      魚返勇太、李 宥奈、岩田達哉、高橋 一浩、澤田 和明
    • 学会等名
      第35回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム
  • [学会発表] H2O2検出系によるアセチルコリンイメージングの高精細化に向けたイオンイメージセンサの開発2018

    • 著者名/発表者名
      雌熊 宏隆, 土井 英生, 堀尾 智子, 岩田 達哉,野田 俊彦, 高橋 一浩, 服部 敏明, 澤田 和明
    • 学会等名
      第66回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 拡散防止構造を一体化した水素イオンイメージセンサによる海馬スライスのイメージング2018

    • 著者名/発表者名
      魚返 勇太, 川上 千夏, 飛沢 健, 繁富 英治, 篠崎陽一, 岩田 達哉, 野田 俊彦, 高橋 一浩, 小泉修一, 澤田 和明
    • 学会等名
      第66回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] Ion Sensor Array For Electronic-Biological Matter Interface2018

    • 著者名/発表者名
      Kazuaki Sawada
    • 学会等名
      2018 Internatinal Conference on Solid State Devices and Materials (SSDM2018)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 集積化バイオセンサ・MEMSグループ

    • URL

      http://int.ee.tut.ac.jp/bio/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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