研究課題
単一種類のイオン(例えば水素イオン)をイメージングするだけでなく,同一場所のその他の化学量(ガス,神経伝達物質:ATPやLactateなど,他のイオン:Kイオン,Caイオンなど)を同時に可視化できるマルチモーダルイメージセンサを実現し,シナプスや細胞の相互作用解明のために有用なツールであることを検証する.具体的には、マルチモーダルセンサのプラットフォームとなる電位センサアレイを試作し、次にその上に各種検出膜を形成することで、4種類以上の神経伝達物質・イオン,ガスを空間解像度5μm以下,時間分解能2msecで取得できるバイオイメージセンサの開発を行うことを目的としている.昨年度までに乳酸と水素イオンを同時にイメージングするセンサ開発、および異なる物質の拡散の抑制に成功してきた。今年度は昨年度実現した乳酸と水素イオンを同時可視化できるセンサを活用し海馬からの信号取得し成功した。グルタミン酸刺激により乳酸放出が確認できたが、そのときの水素イオンの放出は同時に確認できなかった。このことから海馬から乳酸放出時には海馬における細胞外のpHは変化しないことが確認できた。またカリウムイオンと水素イオンを同時に可視化するイメージセンサについても取り組んだ。カリウムイオン感応膜を半導体技術で微細加工する技術は未開発のため今年度はレーザにより部分的に感応膜を除去し、水素イオン検出部を露出することで、水素とカリウムを同時に検出するセンサを実現することができた。
2: おおむね順調に進展している
昨年度5ミクロンピッチ、フレームレート500フレーム毎秒で動くセンサプラットフォーム、予定通り、2種類のイオン感応膜を製作し、生物実験に成功し、生物学的に有意な実験結果を得ることができた。来年度は微細加工を技術を駆使して、研究目的である4種類以上のイオンなどを同時に検出するセンサの開発を目指す。
半導体微細加工技術特にフォトリソグラフィで、イオン感応膜をパターニングするところに時間を費やしている。 直接パターニングすることにこだわらず、最終年度はリフトオフプロセスや他の方法を採用しながら5ミクロンピッチセンサ上でのマルチイオンセンサ開発に取り組みたい。
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Sensors
巻: Vol.22, Issue1 ページ: 75-75
10.3390/s221010075
http://int.ee.tut.ac.jp/bio/