研究課題/領域番号 |
18H03784
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
桂 誠一郎 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (00401779)
|
研究分担者 |
吉澤 浩志 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70318070)
福澤 一吉 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00156762)
板口 典弘 静岡大学, 情報学部, 助教 (50706637)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 抽象化理工学 / 人間支援 / データロボティクス / 手づたえ教示 / モーションコピーシステム / 要素記述法 |
研究実績の概要 |
本研究ではロボットを使用して人間の動作を抽出し、忠実に再現する「モーションコピーシステム」に関する工学基盤を拡張するとともに、手づたえ教示を効率良く実現するためのデータロボティクスの方法論を明らかにすることを目的としており、本年度において次のような研究実績を得ることができた。 1. 手づたえ教示/被教示装置の試作開発 研究代表者が開発に成功している「モーションコピーシステム」のコンセプトを応用し、位置・速度情報に加えて力情報を精度良く取得する外骨格アームとタブレットを統合したシステムを開発した。本システムでは動作データ抽出時にアームによる拘束が生じるため、超小型力覚センサとモーションキャプチャシステムを統合した非拘束型のシステムも開発を行った。さらに、機能的電気刺激によるシステムについても試作を行い、基本特性について確認した。 2. 動作データに潜む「特徴量」抽出方法の開発 多くのデータから特徴量を抽出する手法はディープラーニングをはじめとする人工知能技術により行うことが可能であるが、モデルがブラックボックス化されてしまうことが問題となっている。そこで、本年度の研究では動作の「特徴量」を抽出するための新しい人工知能技術の研究を行い、「要素記述法」の開発に成功した。本手法はブラックボックス化することなく、データから対話的にモデルを構築することを可能にしている。 なお、本年度において10回の研究ミーティングを開催し、研究代表者、分担者、協力者間での成果の共有、逐次確認を行い、工学、神経心理学、神経内科学の密な連携の下で研究を推進した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
手づたえ教示/被教示装置として、従来研究による基盤を応用した外骨格アーム型のシステムに加え、非拘束型のシステム、さらには機能的電気刺激によるシステムについても試作開発を行い、多面的に動作データの抽出方法について検討を行った。さらに、本研究で開発した「要素記述法」によりデータから対話的にモデルを構築することが可能になった。この技術は、研究代表者の有する「応用抽象化と総合デザイン」方法論が基盤となっているばかりではなく、永守賞を受賞したことからも明らかなように、産業応用面での優位性も高く評価された。この高いレベルでの総合デザイン方法論を動作データの特徴量抽出に応用することにより、構築されるシステムそのものも高性能化が見込まれ、当初の計画以上の成果が得られることが期待されるため。
|
今後の研究の推進方策 |
研究期間の2年目においては、手づたえ教示/被教示装置によるデータ抽出・再現の自由度を増やすことを目的とし、初年度試作したシステムの評価をフィードバックしつつ、アクチュエータ・センサの配置や機構について検討を進める。システムの改良と併行して、動作習得における神経心理学的モデルを構築するための被験者試験を行う。 最終的には、電気機器システムを直接人間の状態把握に応用するという方法論を一般化し、電気工学と神経心理学をつなぐための応用抽象化と総合デザインに関する学理を明らかにすることを目指す。
|