研究課題
本研究では、1~10 nmの垂直磁化膜において外部からのアシストエネルギーを効率よく磁化反転に結び付けることを目的としている。そのために、超高速分光技術を用いた磁化の動的評価手法を駆使して各種エネルギーアシストによる磁化の動的挙動を明らかにし、その知見を材料選択および超薄膜ヘテロ構造の設計へフィードバックする。ここでは、バルク磁気異方性の高い材料、界面誘導磁気異方性による垂直磁化膜、新規垂直異方性材料の3つの材料系について、フェムト秒レーザーを用いた超高速分光法により磁化の動的挙動を解明し、クリティカルダンピングを実現するための材料パラメータを計算により導き出す。本年度は、次の2つの項目について以下の結果を得た。(1)昨年度立ち上げを行った強磁場時間分解磁気光学カー効果測定(TRMOKE)装置に熱エネルギー導入機構を取り付け、700Kまでの温度での測定が可能になった。平均粒子径が約8 nm、保磁力が約4 Tの垂直異方性を持つFePt媒体のキュリー点付近(620K)のダンピングは0.064と見積もられた。(2)2次元スピン系垂直材料である(Mn-Cr)AlGeの磁化ダイナミクス評価を行った。新たに開発したCu2Sb型MnAlGe膜と(Mn-Cr)AlGe膜からなる材料系において、サブテラヘルツの磁化歳差運動をTRMOKEにより検討した。これらの材料は、数ナノメートルサイズの領域で大きな垂直磁気異方性を示す。(Mn-Cr)AlGeの磁化歳差周波数は0.164THzで、実効磁気ダンピング定数は0.012と比較的小さいことが判明した。理論計算の結果、Cr置換による全状態密度の変化が(Mn-Cr)AlGeの固有磁気ダンピング定数を減少させることが推察された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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