研究課題
昨年度までの検討で、ノロウイルス外套タンパク粒子(VLPs)の構造を還元剤を添加することによりいったん崩壊させた(電子顕微鏡で確認)後、外来DNA共存下で塩化カルシウムを添加することにより、VLPsを再合成させると同時に、外来DNAをVLPsに封入することに成功した。しかしながら、外来遺伝子の封入率が著しく低く、このような遺伝子封入VLPsを用いても、計画当初の目標であった「低濃度ノロウイルスの浄水処理性の評価」が困難であると判断され、外来DNAとVLPsの親和性を高める必要があることが分かった。そこで本年度は、以下の手法によりノロウイルス外套タンパク粒子(VLPs)の内部に外来DNAを封入することを試み、その結果、封入率を大きく上げることに成功した。(1) あらかじめ、金-チオール相互作用を利用して金ナノ粒子に外来DNAを修飾した複合体を作製する。(2) 一方、還元剤添加により、VLPsをいったんバラバラにする。(3) ここに作製した複合体を加えたのちに、塩化カルシウム添加によりVLPsを再構成する。このようにして得られた封入作業後の試料の密度分布を、塩化セシウム平衡密度勾配遠心法により調べたところ、試料中には中空のVLPsに加え、DNAが封入されたVLPsが生成されていることが確認できた。そこで、少量ではあるもののDNA封入VLPsを回収し、室内実験にて凝集-沈殿処理に供したところ、除去率が1.6 logであり、同時添加した(これまでの検討により、水系ヒト感染性ウイルスの浄水処理性指標となり得る)トウガラシ微斑ウイルスの除去率である2.1 logと、ほぼ同程度であることが分かった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Water Research
巻: 213 ページ: 118160
10.1016/j.watres.2022.118160